"義母の古希に愛人を連れてきた夫と5000万円の借金" 第19話
その巨体がくたびに、部の空気がビリビリと震える。
タカシは恐怖のあまりヒッとい鳴をげ、さらにを縮こまらせた。
親戚の叔父や叔母たちも息を止めている。
しかし、ボスの向かった先は私でもタカシでもなかった。
ボスは座に静かに座る義母のトシコさんのまで来ると、突然その巨体を真っつに折るようにして畳のに両膝をついたのだ。
そして額が畳に擦り付けられるほど、く座をしたのである。
「奥様」
ボスの震える声が、部に響いた。
「この度はうちの若い衆とこの愚かな女が、奥様の切なご族になるご無礼を働き、誠に申し訳ございませんでした」
ボスは顔を畳に押し付けたまま、謝罪を続ける。
「私の管理の致すところでございます。如何様にも処分をお受けいたします」
その景に、タカシもユリも、そして親戚たちも皆自分の目を疑い完全に考を止させた。
泣く子も黙る裏社会のボスが、5000万円というを貸し付ける酷な組織のトップが。
たったの老婦ので、まるで主ので怯える子犬のように全を刻みに震わせながら座をして必に許しを乞うているのだ。
「い、体何をしてるんですか」
ユリが震える声で尋ねる。
「そのおばあさんは、ただの茶の先で」
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ボスは顔を畳に擦り付けたまま、凄まじい声で鳴りつけた。
「黙れ貴様!」
ボスの声に、ユリはビクッと体をねさせる。
「本当に何もらねえで、こんな真似をしでかしたのか」
ボスはユリを睨みつけ、恐ろしい真実をにする。
「奥様はな、俺たちのような裏の組織のが束になっても敵わない、政財界のの支配者だ」
彼は義母に対する絶対な恐怖と敬を滲ませる。
「俺の組織だって、元を辿れば奥様の顔利きでかしてもらってるようなもんなんだよ」
ボスは額から滝のような汗を流し、言葉を絞りす。
「その奥様のご息息を騙し、あろうことか園寺グループの令嬢である奥様を侮辱するとは、万に値するわ」
彼はユリに酷な線を突き刺す。
「貴様らのようなゴミが関わっていいお方じゃねえんだよ」
ユリの顔から、完全に全ての表が抜け落ちた。
自分が番いと信じて寄りかかっていた黒柱が、実は目のの老婦の元にも及ばないちっぽけなだったのだ。
絶対な者が、さらなる絶対な権力のにひれ伏すという残酷な真実。
義母は座をするボスをたく見ろし、静かにをいた。
「顔をげなさい」
ボスの肩がビクッとねる。
「あなたが直々に謝罪に現れたということは、事のさを理解していると受け取って良いのですね」
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「はい」
ボスは恐る恐る顔をげ、額の汗を拭った。
「奥様から黒田さんを通じて連絡を受けた、私は背筋が完全に凍りつきました」
彼は言い訳をするように、で説する。
「まさかうちの馬鹿な連が、奥様のご親族にをしていたとは」
ボスはユリを指差し、憎悪を込めて言う。
「この女が勝にタカシという男にづき、会社のを横領させて資を引っ張ろうと企んだこと、全て私の責任でございます」
ボスは額に脂汗を浮かべながら、必に弁をねた。
「それで、あなたはこれからこの愚か者たちをどうするつもりですか?」
義母の静かで、しかし温度のない酷な問いかけ。
それは己の欲望のままに罪をねたタカシとユリの運命を完全に決定付ける、最の審判の図だった。
ボスはゆっくりとちがり、殺に満ちた目でガタガタと震えるタカシとユリを振り返ったのだ。
「ひいっ」
畳にいつくばったまま、タカシが喉を引き裂くような鳴をげた。
「助けて、助けてくれ」
先ほどまで自分こそがこのの支配者であるかのように振るい、私をゴミのように見していた男の姿はそこにはなかった。
ただ得体のれない巨な恐怖にみ込まれ、失禁せんばかりに震える匹のれな虫がそこにいるだけだった。
裏社会の頂点に君臨するはずのボスが、自分の母親であるトシコさんので額をに擦り付けている。