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"廃線駅に殘された最後の切符" 第6話

源吉の瞳に、暗いが差す。 京へった信吉は、健の名を騙り通すことができなかった。 酷な労働環境、からの厳しい尋問、そして偽名が見することを恐れた信吉は、就職からわずかを脱し、京の盛りへと姿を消してしまったのだ。

受入先のから沢駅へ「田健が失踪した」という報が届いた、源吉のは真っになった。 本物の健の炭鉱の底。 偽物の健京の。 そして、故郷に残された母親のサダの元には、どちらの息子からも、通の便りも、円の仕送りも届くことはなかった。

町の々は「親孝な息子が京で放蕩に溺れて逃げた」と噂し、サダをした。 サダは駅の改札へ毎のように現れ、源吉のを握りしめて泣いた。 『駅さん、あの子はそんな子じゃない。私の健は、絶対に私を見捨てるような子じゃないんです……!』

源吉は、真実を言えなかった。 「あなたの息子は友を助けるために名を捨て、極寒の炭鉱へきました」などとが裂けても言えなかった。言えば、信吉の族は町を追われ、健の犠牲は完全に無駄になる。何より、それを隠蔽した自らの責任から逃げた卑怯者として、サダの絶望をめるだけだと恐れたのだ。

そして、サダは結核と過労で、息子の帰りを待ちわびながら息を引き取った。

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「俺が殺したようなもんだ」 源吉はシーツを涙で濡らした。

「サダさんがんだ、俺は誓ったんだ。健がいつか、この町へ帰ってきた……俺がこの駅で、あの子を番に迎えてやらなきゃならん。あの子に『おは悪くない、胸を張って帰ってこい』と言ってやらなきゃならんと。……だが、俺はもうけん。線も消えちまった」

は、シーツのに散らばる枚の切符を見つめた。 源吉のすぎる悔の歳。 だが、修には、まだつのきな謎が解けずに残っていた。

「駅つだけ教えてください」

を乗りした。

「健君がったのなら、なぜあなたは【き】の切符を残し続けたんですか? 待つだけなら、切符を机のに置く必なんてないはずだ。なぜ、きの切符なんですか?」

源吉は目を閉じ、細く息を吐いた。 その問いの答えをにする気力すら、老駅の肉体からは失われかけていた。

「……探してくれ、田京だ。あの子は……健は、京にいるはずなんだ」

それが、源吉が識を失う直に遺した、最の言葉だった。

沢駅の完全閉鎖を見届けた修は、盛岡のへ向かうに、休暇を取ってきの夜田」に乗り込んでいた。

ポケットには、源吉の庫から預かってきた枚の券。

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そして、源吉が倒れる、辛うじてメモ帳にき残してくれた、つのがかりがあった。

つは、昭――今から夕張炭鉱の保課から沢駅へ届いた、枚の照会ハガキの記録。 【坑夫・ヤマダケンイチ(歳)、落盤事故による負傷退職京方面へ転の模様】。

もうつは、昭京の鉄関係者から源吉の元へ届いた、の便りだった。 【国鉄の線保守を請け負う保線請け会社に、沢線を名乗る腕利きの軌がいる】。

京へ向かった。 友に元を譲り、獄のような炭鉱で体を壊したは、その、かつて自分がくはずだった所――京へと流れ着いていたのだ。

分、野駅のなプラットホームにった修は、押し寄せる通勤ラッシュのの波に圧倒された。 スモッグに霞む巨な鉄骨のドーム。 けたたましいアナウンスと、無数の革靴がコンクリートを叩く鳴りのような響き。

田健という名を背負ったもう・信吉がち、そして本物の健が辿り着けなかった、約束の

野駅の公衆話から、国鉄京鉄管理局の保線課へ連絡を入れた。 沢駅の若駅員という分と、昨まで沢線にいたという事実は、同じ国鉄(ファミリー)の現職員たちの警戒を解くのに分だった。

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