"死刑執行直前、1匹の犬が見つけた「8年前の嘘」" 第2話
消された9分
画には音がなかった。
廊の奥から男が2現れ、1がち止まって元の類を指した。もう1がそれをのぞき込み、軽くうなずく。の刻表示は、2147分を示していた。
7秒で画面が止まると、結は再ボタンを押した。
「この2は……」
「橘さんと、野寺さんに見えます」
浦が証言調をいた。付箋のあるページを結のに置き、須藤の回答を指で示す。
『2146分ごろです。内に入り、2とも血を流して倒れているのを確認しました。呼びかけましたが反応はありませんでした』
そのすぐあとに、直を廊で見たという証言が続いていた。
結はもう度画を見た。総支配の橘がを折り、野寺に渡している。なくとも、傷を負って倒れている2には見えなかった。
「1分には、歩いている」
「刻表示が正しければ」
浦は、そこを省かなかった。
「別のの映像かもしれない。計がずれている能性もある。この7秒だけでは、まだりません。でも、元の記録を確認する価値はあります」
法廷で提された廊の映像には、2143分から2152分までの9分がなかった。その部分を消せる識と権限があったのは、保守担当の直だとされた。
直は何度も、編集して渡された映像だけで判断しないでほしいと訴えていた。録画から最初にデータを取りしたのが誰なのか、調べてほしいとも言っていた。
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須藤は、取りした点ですでに欠けていたと証言した。録画の元データは残っていないという説も、覆せなかった。
結は、画面のでく2から目をせなかった。
「直が、ずっと言っていたことですよね」
浦はうなずいた。
「確認する相が、ようやく現れました」
浦が須藤へ話をかけた。本の承を取ってスピーカーにすると、結が覚えているよりもく、かすれた声が流れた。
「画は見ましたか」
「はい。切りすの記録は、今どこにありますか」
「全なところです。私に何かあっても、会社には渡りません」
「私に何を求めていますか」
向こうで扉の閉まる音がした。しばらくして、須藤が声を落とした。
「警察に話すに、弁護士に相談したい。守ってもらいたいんです。しい社になってから、昔のことまで片づけようとしている」
浦は須藤の話をメモした。自分は直の弁護であり、須藤の処罰について約束はできないことを伝えたうえで、別の弁護士に相談できるよう配すると答えた。
「それでも、話しますか」
「話さなければ、私が先に終わる」
結は子ので背筋を伸ばした。
自分が危なくなるまで、黙っていたのか。
問い詰める言葉が元までかかったが、ハルが膝に顎を乗せた。結はそのを撫で、浦に話を任せた。
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須藤へのりで、この会を失うわけにはいかなかった。
浦は事務所での面談を提案したが、須藤は応じなかった。話越しでも分かるほど、息がせわしなくなっていた。
「ここからそちらまでくのは、目つ。今いる研修所の駐まで来てください。今は倉庫をける業者も入っているから、が増えても自然じゃない」
約束は1730分になった。危険をじたらのいる所へ移するよう浦がを押すと、須藤はく返事をして話を切った。
古い研修施設は、摩の宅を抜けた先にあった。正には閉鎖の案内が残っていたが、脇の両用ゲートはいていた。敷の角には、荷物をまとめた青いシートが積まれている。
結はの部座席からハルをろし、をませた。浦は入の位置と周囲を確かめながら、須藤へ話をかけていた。
呼びし音は続いたが、相はなかった。
「1712分には、ここにいたはずです」
浦が最のメッセージを見せた。
『建物のにいます。のです。し応対をしてから戻ります』
駐の端に、それらしいがあった。ナンバーも、事に伝えられたものと致していた。
入の仮設事務所から、作業用の着を着た管理員がてきた。
「お約束の方ですか。須藤さんなら、お帰りになったと聞いています」
「誰からですか」
浦に尋ねられ、管理員は胸の名札を指で直した。
「会社の担当の方です。しにでられました。私は今、の管理を頼まれただけで」
管理員を問い詰めるに、浦は須藤のへづいた。結もついていき、助席の窓からを見た。
座席ので、スマートフォンの画面がるくなった。
表示されていたのは、浦の名だった。
「携帯を置いて、帰ったんですか」
管理員も窓をのぞき込み、困ったように首をかしげた。
浦は通話を切り、今度は警察へ連絡した。面会の約束をした男性がになっていること、の危険を訴えていたこと、内に話が残っていることを順番に説している。
結はハルを元へ呼ぼうとした。
赤いリードが、わずかに張った。
ハルはとは反対の方向を向いていた。建物の裏へ回り込む細い通の入で、をくげている。
「ハル?」
がを向き、さっきまで揺れていた尻尾が止まった。
ハルは結を度だけ振り返ると、通の奥へもうとした。