"搭乗直前、警察犬が機長に飛びかかった――10時32分、空港全便が止まった理由" 第5話
1032分
956分、瀬戸内空港の発ロビーから航空のエンジン音が消えた。
滑へ向かっていた2は駐位置へ戻され、残る5も搭乗を止した。到着便は管制の指示で待または空港への振り替えを検討している。
ロビーの案内板には、7便すべてに「保確認」と表示されていた。
野は館内放送で、保の理由により発を見わせると繰り返した。詳しい理由は伏せたが、217便の乗客だけを移させたことで、何かが起きた所は隠せなかった。窓越しに警察両を撮する客も現れ、航空会社の問いわせ窓には数分で200件を超える着信が入った。
戸はもう、定刻発をにしなかった。代わりに168の名簿と危険物申告、搭載貨物の覧を対策へ提し、黒川の代替員配も止した。
ハヤテの度の示警が直接空港を止めたのではない。フライトバッグから爆発物由来成分が検され、同じ犬が対象へ2度目の確定作をした。その2つの事実を受け、危対策本部が汚染範囲を確定できないと判断した結果だった。
瀬は防護装備の警察官とともに217号へ入った。
客のいない内には、つい先ほどまでの搭乗準備の跡が残っている。収納棚はき、方ギャレーにはコップが並び、座席ポケットには全のしおりがえられていた。
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ハヤテは通を急がなかった。座席ごとに流れる空気を拾い、数歩んでは止まる。15列目を過ぎ、方へづくにつれ、がった。
操縦で、瀬は度犬を待たせた。処理班が扉と面を確認し、全範囲を区切ってから再する。
ハヤテは操縦へ入ると、席の背へ回り込んだ。
そこは黒川が陸、最もく座る所のすぐろだった。内で煙やが発すれば、乗客より先に操縦系統と乗員が響を受ける。瀬はその位置関係を見た瞬、バッグの汚染が偶然ではないと確信した。
誰かは、黒川をに乗せたかった。同に、から彼を疑わせる痕跡を残したかったのだ。
そこには通信器へ通じる点検パネルがある。表面はの壁材と同じだったが、4本ある固定ねじのうち、だけ属がしくっていた。
体備責任者が記録を確認する。
「このパネルは、なくとも3かはけていません」
「では、この傷は何です」
瀬が指すと、責任者は答えられなかった。
ハヤテはパネルかられ、訓練どおりへ伏せた。
3度目の確定作。
刻は1001分だった。
瀬たちはへ退避し、処理班が作業を引き継いだ。操縦内の映像が対策の画面へ送られる。専用具がのねじを回すと、パネルの端がゆっくり浮いた。
通常の配線束の奥に、黒い箱が固定されていた。
対策で映像を見ていた黒川が、机の端をつかんだ。自分が毎便座る座席のすぐろである。今朝の部点検では見えず、通常の乗務員確認でもけない所だった。
「昨夜の備記録を全部止めてください」
黒川は野に言った。
「私の便だけではない。あの物がの体にも触れているなら、1の問題では済まない」
備会社の部品ではない。独した池、細いコード、型の容器。周囲にはを点へ向けるための属板まで組み込まれている。
処理班員が内鏡カメラを差し入れた。
画面の央に、赤い数字が現れる。
1004分。
壁の計が、その刻を示していた。
黒い箱の表示は、現刻とは違っていた。
そこには、ただ4つの数字が点灯していた。
1032分。