"「和裁しかできない」嫁と20億円の着物" 第7話
は何度も頷いた。
「はい」
窓のでは、夜けの空がわずかにるくなり始めていた。
枝はもう度のを握る。
そして静かに目を閉じた。
その3、枝は息を引き取った。
穏やかな最期だった。
葬儀には次男と男も来た。
恵子と彩子も喪を着て現れる。
皆、しんでいるふりをしていた。
葬儀が終わった、恵子がにづいてきた。
恵子はを見ろす。
「さん、お疲れ様でした。最まで変でしたね」
その言葉には同のかけらもない。
ただ勝ち誇ったような響きがあった。
恵子はく笑う。
「結局何も残らなかったでしょう。かわいそうに」
彩子も横から囁く。
「私たちは最初から分かってましたから」
2はそう言ってさく笑った。
しかし、確かにをあざ笑う声だった。
は何も言い返さなかった。
ただ、胸ので何かが変わっていくのをじる。
は2に背を向けた。
その夜、1になった部では桐の箱をけた。
若の着物がそこにある。
かりに照らされて、が優しく輝いていた。
は着物を広げてじっと見つめる。
この着物には枝の魂が込められていた。
誰にも奪われない、2だけの絆の証である。
涙がまた溢れてきた。
とはいえ、今度の涙はしみだけではない。
何かい決のようなものが胸の奥から湧きがってくる。
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は着物を丁寧に畳んだ。
そして鏡のにつ。
鏡に映る自分の顔をじっと見つめた。
痩せて疲れた顔である。
それでも、その目には以とは違うがあった。
はさくつぶやく。
「私はもう、誰にも馬鹿にされない」
その声は静かだったが、確固たる志を帯びていた。
窓のではの夜が吹いている。
川越の町は静かに眠っていた。
は鏡のの自分を見つめ続ける。
その目は以の々しさを失っていた。
代わりにい決のが宿っている。
何かが変わり始めていた。
葬儀の、のたいがっていた。
会には親戚やたちが集まっている。
黒い喪を着た々が静かに焼をしていった。
次男と男は閉式式の30分に現れた。
恵子と彩子も緒である。
4ともきちんとした喪姿だった。
しかしその表にはしみがない。
ただ義務を果たしに来たという雰囲気だけが漂っていた。
次男が受付で記帳をする。
そのきは事務でそっけないものだった。
男も同じように淡々と名をいていく。
恵子は会の隅で携帯話を見ている。
折、さくため息をついていた。
彩子は腕計を何度も確認している。
式が始まると、4は最列に座った。
族として当然の位置である。
ところが、その座り方には緊張もしみもじられなかった。
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は達也の隣に座っている。
目は腫れていた。
この数、ほとんど眠れなかったのだ。
読経が始まった。
お坊さんのい声が会に響き渡る。
は目を閉じて、枝の顔をい浮かべた。
焼の順番が回ってきた。
はちがって祭壇へ向かう。
が震えていた。
おをに取り、体ので押しいただく。
そして炉へそっと落とした。
遺ので、枝が優しく微笑んでいる。
はそのでくをげた。
涙が頬を伝って落ちていく。
次男と男も焼をした。
だがその作は械だった。
まるでく終わらせたいという気持ちが見えている。
恵子と彩子の焼はさらに素いものだった。
2ともすぐに席へ戻っていく。
式が終わると、棺のである。
葬では、次男と男が々にへてった。
タバコを吸いながら何か話をしている。
だけが炉ので待ち続けた。
枝が完全にになるまで、そのをれることができなかったのだ。
葬儀の翌、で遺品理をすることになった。
次男と男が午になってからやってきた。
恵子と彩子も緒である。
4は部に入るなり、キョロキョロと辺りを見回し始めた。
次男がの方を向いて尋ねる。
「で、貴品はどこにあるんですか?」
その声には慮がない。
は静かに答える。
「特に貴品というものは……」
男が舌打ちをした。
「本当に全部寄付したんだな」
恵子が引きしを乱暴にけながら言う。
そのつきはまるで何かを探しているようだった。