"深夜の義実家" 第6話
体は激しいスキール音をげ、通りをれて鬱蒼とした々が覆い茂るへと突入していく。 その直だった。 濡れた面でタイヤがグリップを失い、急旋回に耐えきれなくなった体がきく横滑りを始めた。 「危ない――っ!」 私の絶叫と同に、フッと体が宙に浮くような無力が襲い、全の血の気が引いた。
――ドォォォンッ!
凄まじい破壊音とともに、属とコンクリートが激突する衝撃がる。 衝撃でヘッドライトが吹きび、界が瞬で完全な暗黒に包まれた。は脇のガードレールを飴細のように突き破り、そのまま暗い崖のへと真っ逆さまに転落していった。
覚を失い、属がねじれる甲い音とガラスの割れる破片のがり注ぐ。全を激打される激痛ので、私の識は急激にのいていった。 『……もしもし! もしもし、丈夫ですか!? 応答してください!』 のく識の淵で、暗に転がったスマートフォンから漏れ聞こえる警察オペレーターの叫び声だけが、辛うじて私を現世に繋ぎ止めていた。
目をけたとき、真っ先に界に入ったのは、夜空のたい屑と、にそびえつ々の黒いシルエットだった。 私はのに投げされ、崖の湿ったむらのに倒れ込んでいた。体は数メートルほどれた所で、無残にひしゃげて煙をげている。
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なぜ私だけがに放りされたのか、奇跡としか言いようがなかった。 全を切り刻むような痛みに耐えながら元を探りすると、奇跡にも指先にスマートフォンのたい触が触れた。画面は蜘蛛の巣状に割れていたが、通話はまだ切れていなかった。
「……助けて……ください……」 私は絞りすような声で、画面に向かって息を吐いた。 「今……が崖から転落しました……私だけ、に放りされて……」 話の警察官の声のが、変して凍りついたのが分かった。 『事故ですね!? すぐに救急と救助隊を配します! 位置報を特定するため、度話を切ってすぐに119番へ発信してください! 識を保ってください!』
指示された通りに震える指で通話を切り、朦朧とするで『119』を押し、救急のオペレーターに現のの特徴を途切れ途切れに伝えた。 そこから先の記憶は、濃いに包まれたように途切れている。
次に目を覚ましたとき、私の界を覆っていたのは無質ない井と、腔を突く消毒液の匂いだった。 全を鉛のようにい倦怠が支配している。腕をかそうとすると、カチャリとさな属音が響いた。見ろせば、私の両腕には点滴の管が何本も繋がれ、ベッドの柵に固定されるようにして拘束されていた。 ――助かったのだ。 その事実を認識した瞬、胸の奥から堵の溜息が漏れた。
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そして、線をベッドの脇へと移した私は、さく息を呑んだ。
パイプ子に腰掛け、ベッドの端に突っ伏すようにして顔を埋めて眠っている女性がいた。義母の貴子だった。 私が微かにシーツを擦りわせる音をてると、義母は弾かれたように顔をねげた。 「あずささん! 目が覚めたのね!?」 義母は病に響き渡るような声をげた。私はその気迫に気圧され、目を丸くした。 元に当てられていた酸素マスクをわずかに浮かせ、私は嗄れた声で問いかけた。 「お母さん……ご無事だったんですね……よかった……。でも、ここは病ですから、あまりきな声をすと……」 「あずささん、そんなこと言ってるじゃないわよ!」 義母は周囲の迷惑などほどもに介さない様子で、壁のナースコールを親の仇のように何度も激しく連打し始めた。 「でも、本当に良かったわ……! 目が覚めたのが、あずささんの方で……! あずささんと正彦が酷い事故に遭って救急搬送されたって聞いたときは、どうなることかとったけれど……!」
義母の放った言葉の端に、たい違が引っかかった。 「……お母さん。『目が覚めたのが私の方で良かった』って……どういうですか?」 私がそう問い詰めた瞬、病の引き戸が激しくき、血相を変えた護師たちが崩れ込んできた。 「患者さんが目を覚ましたんですね!?」