"18年間閉ざされた納屋" 第5話
つの京錠
納のから、度。
同じ所で音がした。
私は扉のにったまま、しばらくかなかった。
「お兄ちゃん。もう度だけ、音をせる?」
返事はない。
けれど数秒、今度は扉のすぐ向こうで、何かを引きずるような音がした。
い。
私はしゃがみ、扉のの隙を見た。
暗い。
の様子までは分からない。
ただ、面と扉のからたい空気が流れていた。
私はスマートフォンに刻を残した。
側から京錠がつ。
茶碗と湯呑み。
気コード。
呼びかけのにから音。
そこまで打ち込んで、画面を閉じた。
まだ「兄がいる」とはかなかった。
確かめるに、私の願望を事実へ変えたくなかった。
納の横へ回る。
窓には内側から布がかかっている。
私は窓枠を軽く叩いた。
「お兄ちゃん」
今度はすぐに音がした。
のを何かが擦る。
ゆっくり。
こちらへづいてくるような音だった。
胸がく鳴った。
私は正面へ戻った。
扉の向こうまで、数センチしかない。
それなのに18よりくじた。
「直」
私はできるだけ普段の声で呼んだ。
「美咲だよ」
何も聞こえない。
それでも、扉のすぐ向こうにの気配があった。
私は具へを置いた。
たい。
昔は簡単な掛けがつあるだけだった。
今はそのから太い具が追加され、さらに京錠がつ掛かっている。
どちらもから閉める。
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からはせない。
偶然、鍵が掛かった形ではなかった。
私は度、の方を見た。
両親のはない。
玄関にもの気配はない。
このまま父と母が帰るまで待つ。
瞬、そんな考えが浮かんだ。
けれど、そのも扉は閉じたままだ。
に誰かがいる。
なくとも、その能性がい。
そしてそのは、自分ではここをけられない。
私は納の脇に置かれた古い具箱をけた。
父が昔から使っていたものだ。
には槌、ペンチ、太いドライバーが入っていた。
を伸ばして、止まった。
鍵を壊せば元には戻せない。
両親にられず確認することもできなくなる。
私はもう度扉のへ戻った。
「お兄ちゃん」
から、こつ、と度だけ音がした。
それで決めた。
私はペンチを握った。
「今からきな音がするよ」
扉の向こうへ声をかける。
「怖かったら、しれてね」
返事はなかった。
けれど気配がわずかにろへがったようにじた。
私はつ目の京錠に具をかけた。
力を入れる。
かない。
もう度。
のひらに汗がにじみ、属が滑った。
私は息をえた。
焦ってはいけない。
きな音をすたびに、のを驚かせるかもしれない。
槌で具の根元をしずつ緩めた。
度目。
鈍い音が裏庭へ響いた。
度目。
から何かがいた。
私はすぐにを止めた。
「ごめんね。もうしだから」
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数秒待ってから、もう度叩いた。
度目で具が傾いた。
度目。
つ目の京錠ごと、具が面へ落ちた。
乾いた音がした。
扉はまだかない。
もうつ残っている。
私は壊れた具を写真に残した。
それからつ目へをかけた。
こちらはさらに固かった。
何度も力を入れる。
腕が震えた。
父の顔がに浮かんだ。
勝なことをするな。
直のことは俺たちが番分かっている。
18、何度も聞いた言葉だった。
私は具を握り直した。
今は父の答えを聞くに、扉の向こうを確かめる。
つ目の具がきくきしんだ。
最にく押す。
属がれ、のへ落ちた。
残ったのは太いの止め具だけだった。
私は両で持ちげた。
い。
が擦れる音がした。
その瞬、扉がわずかに内側へいた。
私はを止めた。
本当にく。
18、私が「施設」という言葉の向こうに置いてきた兄のが、この扉の先にあるかもしれない。
「お兄ちゃん」
声がしかすれた。
「けるね」
私は扉を数センチ押した。
たい空気が流れした。
湿ったと古い布が混じった匂い。
昼のが細い線になって、暗いへ伸びていく。
私はその隙からを見た。
そして、息を止めた。