"18年間閉ざされた納屋" 第4話
18、答えは増えなかった
を卒業し、私は県内の学へんだ。
授業で発達や支援について学ぶたび、兄をいした。
本が返事をしない、すぐに「分からない」と決めつけない。質問をくする。選択肢を減らす。落ち着ける環境を作る。そして、待つ。
兄は昔から返事が遅かった。それでも待っていれば、自分の言葉をすことがあった。
学2の、私は母へ話した。
「お兄ちゃん、今も同じ施設にいるの?」
「そうよ」
「施設の名を教えて」
「どうして急に?」
「学で福祉の勉をしてるから」
母の声がくなった。
「だったら余計に分かるでしょう。直は環境が変わると定になるの」
「名をるだけだよ」
「だったらる必もないでしょう」
話を切った、初めてノートに残した。
施設名――。
それから帰省するたび、質問を分けた。所は。担当者は。面会できない理由は。兄の今の活は。
父の答えはいつも同じだった。
「俺がっていれば分だ」
学院へみ、決定支援を研究するようになった。
指導教員から兄について聞かれた、私は自分で答えて初めて異常さに気づいた。
兄は施設にいる。けれど私は、その施設について何つらない。
18、兄の報はつも増えていなかった。
だから私は、両親へ聞いた内容を記録するようになった。ではなく、質問と答えだけを残した。
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そして博士課程を修した今。
佐藤さんから聞いた。
「直君、まだ裏の納にいるんだろう」
私は今、その納のにっていた。
扉には、昔はなかった太い具が増設されている。京錠がつ。どちらも側から掛かっていた。
すぐには触らなかった。まず周囲を見た。
窓は内側から布で覆われている。裏には属の盆。空の茶碗には乾いた米粒が残り、その横には使い込まれた湯呑みがあった。
の方から細い気コードも伸び、壁の穴からへ入っている。
何も放置された物置には見えない。
私はスマートフォンで、鍵、窓、茶碗、気コードを撮った。自分の記憶だけに頼らないためだ。
扉のへ戻った。
「お兄ちゃん」
返事はない。
「直。美咲だよ」
がの枝を揺らした。
その、からさな音がした。
何か軽い物が、へ触れたような音。
私は扉へ歩づいた。
「ここにいるなら、声じゃなくてもいいよ」
しばらく待った。
数秒。
から、度。
同じ所で音がした。
私は息を止めた。
ではない。
誰かがいる。
なくとも、そう考えなければならないだけのものが目のに揃っていた。
私は扉の側に掛かったつの京錠を見た。
18、両親は兄が施設にいると言い続けた。
けれど、その扉の向こうから今、音がした。
私は鞄を面へ置いた。
もう父と母の説を待つつもりはなかった。