"誇りの遺言と五千億の預金" 第17話
百もが集まった宴会での来事である。を塞ぐことなど能だった。夜にして事件の詳細はネットを駆け巡り、凄まじい批判と炎の嵐が巻き起こっていた。 さらに、元経済ニュースの速報が追い打ちをかけた。
『平成の株価、評被害と預流の懸から連続のストップ』
「こんなの……嘘よ……私、ちょっと言い過ぎただけなのに……!」
リカがを抱えてソファーに崩れ落ちたその、リビングのい扉が乱暴にけ放たれた。 入ってきたのは、父・郎であった。その顔にはりを通り越し、氷のようなたい絶望と軽蔑のが浮かんでいた。
「リカ。おに言い渡しておく」 「パ、パパ……! 聞いて、私、ネットに変なことかれて――」 「に関する切の業務、および関連事への関与を、本付で永久に禁ずる」
く、無を言わせぬ父の宣告に、リカは息を呑んだ。
「パパ、待ってよ! 私、悪気配はなかったの! ただちょっとからかっただけで――!」 「……『ちょっと』だと!?」
郎の号が部を揺るがした。
「千百億円だぞ!! おのたった晩の浅はかな虚栄と傲な舌先のせいで、当の預総額の分のが永に消えったんだ! 株価は暴落し、築きげてきた信用はに堕ちた! 全てはおのその腐りきった性根が招いた結果だ!」
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「だ、だってらなかったのよ! 島君があんな持ちになってるなんてらなかったんだから!」 「相が持ちでなければ、を虫けらのように踏みにじっていいとでもっているのか!!」
痛烈なに、リカは息を詰まらせ、完全に言葉を失った。
「今、平成の名を使って贅沢をすることも、誰かに圧力をかけることも切許さん。カードも全て利用止にした。……おには、ほとほとが尽きた」
郎はたく言い捨てると、度も振り返ることなく部をてった。
「パパ……! 待って、パパ……!」
誰もいない広な部に、リカの痛な叫び声だけが虚しく霊した。
しかし、崩壊の連鎖はそれだけに留まらなかった。 事件から週、リカの夫が、枚の緑の――婚届をリビングのテーブルのに残し、荷物をまとめてをてったのである。 企業の役員であり、の威と財産を目当てに婿養子として入ってきた男にとって、権力を剥ぎ取られ、の嘲笑のとなったリカの傍に留まる理由は、もはや何つしなかった。
「待ってよ……かないで! 私、これからどうやってきていけばいいのよ!?」
すがりつくリカのを、夫は淡に振り払った。
港区の湾岸タワーマンションも、ガレージに並んでいた台の級も、全ては平成の資産管理会社の所物であり、リカ個の財産ではなかった。
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ブランド品を買い漁り、ファーストクラスで世界をび回っていた虚飾の々は、音をてて跡形もなく崩れった。
玄関のたいのに座り込み、リカはい、くことができなかった。 ので、度も直してこなかった「己の無力さ」という残酷な現実のに、彼女はただ、打ちのめされていた。
それから、半という歳が穏やかに流れていった。
平成は約束通り、経営方針を全面に刷した。『すべてのお客様に、公平と敬を』というたな経営理が全舗の窓に掲げられ、郎自らが員たちのにって、なりや預残による差別を徹底して排除する識改革を推した。失われた信用を完全に取り戻すにはまだがかかるだろうが、は確実に、しい歩みを始めていた。
麗らかなが過ぎ、再び爽ながを吹き抜けるある朝のこと。 オフィスのデスクで類に目を通していた涼のスマートフォンに、通のメッセージが届いた。
送り主は、瀬千佐であった。
『涼君、おはよう。今朝、主の会社の追加融資が、正式に満額で承認されました。の担当者の方がまで来てくださって、本当に丁寧に対応してくれたの。……本当に、本当にありがとう。涼君のおかげです』
画面を見つめながら、涼の元に自然と温かな微笑みがこぼれた。
千佐が同窓会の夜、震えながらもちがってくれたあの勇気が、巡り巡って彼女の庭を守る結果となったのだ。