"妊娠中の娘が逃げ帰った夜、大富豪の母が動いた" 第3話
あそこのドン、斎藤健造会のですよ。あそこの財団は、グループ全体の税務対策と政界作の核と言われています。体どうして……』
「昨夜、妊娠ヶのはるかが、全を骨折させられて私の元へ逃げ帰ってきたわ」
『……ッ!?』 田が息を呑む音が、スピーカー越しに々しく響いた。
「夫の斎藤匠のによるものよ。医師の診断では、半からの常習な暴。……あの族は、私の娘をとして扱わなかった。そして今も、財閥の権力で握りつぶせるとを括っているわ」
エリコの声は、静かであればあるほど、その奥にある徹な決を際たせていた。 「輔さん。私は、あのを法に、社会に、そして経済に、完全にこのから消滅させる。……そのための『最初の引き』が欲しいの。私の名は、絶対ににさないで」
秒のい沈黙。 やがて、田がく、覚悟を決めたように息を吐きした。
『……分かりました。神聖財団の資循環については、以から融庁の検査官のでも透だと噂されていた案件です。公認会計士協会のルートと、民の信用調査関のデータベースを総員します。……ください。確実に急所を抉りせるデータを揃えます』
「ありがとう、輔さん。……費用はいくらかかっても構わないわ」
『臭いことを言わないでください。
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……はるかちゃんは、私の娘のようなものです。あのどもに、いらせてやりましょう』
通話を切ったエリコは、髪を入れずに本目の話をかけた。 相は、国内屈指の取材力を持つ全国・帝都聞の遊軍エース記者、太田健。 かつてエリコのき夫が、ある政官癒着の型スキャンダルを内部告発した際、最まで報源を守り抜いて特ダネを打ちてた、気骨あるジャーナリストだった。
『エリコさん! ご無汰しております。何かきなきでもありましたか?』
「太田さん。いうちに、あなたにしかけない、本経済を揺るがす特のスクープをお渡しできるわ」
受話器の向こうで、ベテラン記者の直がねがる気配がした。 『……相は、どこですか』
「神聖グループ。……それも、表面な経営問題ではないわ。巨財団を使った数百億円規模のマネーロンダリングと、次期総帥による凶悪な庭内暴力。経済部と社会部が同でくべき事案よ」
太田がく唸った。 『神聖グループの斎藤健造会といえば、官邸にもパイプを持つ怪物です。半な証拠では、デスクが記事を握りつぶしかねませんが……』
「証拠は、国内最峰の会計事務所の代表が、公資料に基づいて完全に裏付けを取ったものを渡すわ。……太田さん、あなたがやるべきことは、融庁と京検特捜部がかざるを得ない【堀の付け】よ。
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できるかしら?」
『……やらせてください。僕の記者命を賭けます』
「よろしく頼むわね。……今夜、資料の第陣の受け渡し所を指定するわ」
通話を終え、スマートフォンをテーブルに置いたエリコの唇に、酷な笑みが浮かんだ。 盤の駒は、すべて配置された。 相が「財閥」という巨な象であるならば、正面からぶつかる必はない。 首の最も脆い腱を本切り裂き、自で転落させればよいのだ。
の夜。赤坂の裏にある、完全会員制の個茶。 灯の暗いの、エリコと公認会計士の田輔が向かいっていた。
田は革のアタッシュケースから、数ページに及ぶいバインダーを取りし、エリコのにいた。 には、緻密に描かれた神聖グループの相関図と、網の目のように入り組んだ資移の矢印が並んでいた。 その央――【般財団法・神聖文化振興会】とかれた角い枠の周囲に、真っ赤なマーカーで太い丸がつけられていた。
「……ご覧ください、エリコさん。予以に真っ黒です」 田は老鏡の位置を直しながら、指先で資の流れをなぞった。
「神聖建設をはじめとする系列社が、毎期計億円を超える『寄付』をこの財団へ拠しています。公益財団への寄付ですから、全額が損算入され、莫な法税が免除されている。
……しかし、その先です」
田の指が、ケイマン諸島とシンガポールに設されたつのペーパーカンパニーへとんだ。