"薬を忘れて戻ると、「歩けない」夫が立っていた" 第7話
健太の元は、すでに音をてて崩れ始めていた。そしてその崩壊は、もはや庭内の夫婦喧嘩の範疇を完全に超えていた。
昼休み、職の休憩スペースでお弁当をべていると、今度は義母・数枝から着信があった。
佐織が通話ボタンを押すと、話の数枝の声は、曜の猛々しさが嘘のように萎縮し、疲弊しきっていた。
「何かご用でしょうか、お義母さん」
『あのね……健太から話があったのよ。あなたに神田の件を突きつけられたって、ものすごく取り乱してて……』
「自業自得です」
『あの子、体何をやってるの!? 私にまで借の督促みたいな話がかかってきたのよ! 「健太さんが保証になっている件で」って……!』
数枝の鳴のような告に、佐織は目を細めた。
「保証……? 詳しく話してください」
『健太が、会社の同僚だか学代の友だかに頼まれて、事業資の保証になってたらしいのよ。その友が夜逃げして、健太のところに何百万円もの請求が回ってきてるって……だからあの子、休職当をもらいながら、別の怪しいバイトをして穴埋めしようとしてたみたいなの!』
パズルのピースが、気に噛みった。
健太が痛みを誇張して休職を引き延ばしていたのは、単に怠けたかったからだけではなかった。会社にられずに借返済のを作るためのを確保し、妻を無料のとして利用することで、自らのの自由を確保していたのだ。
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「お義母さん、そのこと、いつからっていたのですか」
『し、らなかったわよ! 今初めて聞いたのよ! 佐織さん、お願いだから健太を助けてやって! あなたの貯をし崩してでも……!』
「お断りします」
佐織は氷のようにたい声で遮った。
「自分で撒いた種です。の男が自分で背負うべき責任を、なぜ私が肩代わりしなければならないのですか」
『たいじゃないの! 夫婦でしょう!?』
「夫婦だからこそ、犯罪や正の共犯者になるわけにはいきません。これ以私を巻き込むなら、弁護士をてて婚続きをめます」
佐織は通話を切り、く息を吐きした。
同の余など、もはや片も残っていなかった。
曜の夜、帰宅した健太は、リビングのテーブルに置かれた枚の類を見て、そのに崩れ落ちるように座り込んだ。
それは、佐織が興信所を通じて急ぎで取り寄せた、健太が連帯保証となっている債務の概だった。残債は利息を含めて約450万円。主債務者が方をくらましたため、全額の請求が健太の元へ回ってきていた。
「……お、ここまで調べたのかよ」
健太の声は、絞りすような絶望に震えていた。
「ええ。あなたが隠し通せるとっていたのが議なくらいよ。会社の事部からも連絡があったわ。あなたの偽装休職と、副業の疑いについて調査を始めているそうよ」
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健太の顔から完全に血の気が引いた。
「会社から……!? 嘘だろ、なんで会社が……!」
「誰かがあなたの姿を見て通報したのよ。自業自得だとはわないの? 会社を騙して当を正受し、そので怪しい仕事をして借を返そうなんて、派な背任為よ」
「俺だって必だったんだよ!」
健太は髪を掻きむしり、涙声で叫んだ。
「騙されたんだ! あいつが『絶対に迷惑はかけないから名だけ貸してくれ』って言うから……! 借のことが会社にバレたら世のは閉ざされるし、おにられたら見捨てられるとって……!」
「だから、私を騙して利用したの?」
佐織の差しには、れみすら浮かんでいなかった。
「あなたが本当に恐れていたのは、世を失うことでも私に見捨てられることでもないわ。自分の見栄とプライドが傷つくこと、ただそれだけよ。そのために私の善を搾取し、母を共犯者に仕てげ、会社まで欺いた」
健太はテーブルに突っ伏し、肩を震わせて泣き始めた。
しかし、事態は泣いて許される段階をとっくに過ぎていた。
翌の曜の午、佐織の勤め先に、本の来客取次が入った。受付に向かうと、そこには濃紺のスーツをに纏った、鋭い目つきの初老の男性が待っていた。
「突然の訪問を失礼いたします。私、トーワ・ソリューションの法務部から調査を委託されております、調査員の成瀬と申します」