"「親呼んでみろ」新人の父を見た部長" 第4話
先輩社員たちが引きつったつきでグラスを持ちげる。 その、個の引き戸のから、静かで、しかし鋼のようにい音が、歩、また歩とづいてきた。
スッ……。
襖のような製の引き戸が、音もなく横へスライドした。
「失礼いたします。追加のおみ物をお持ち――」 入ってきたのは、員だった。 お盆のにジョッキをつ載せた若いアルバイトの男性が、部のの異様な殺気と、ビールまみれで座る私の姿を見て、息を呑んで直した。
「チッ、員かよ! 紛らわしい真似すんじゃねえ!」 佐藤は悪態をつき、伝票をひったくるようにサインした。 員は逃げるようにをげ、に扉を閉めてっていった。
「だいたいな、本当に来るわけねえんだよ!」 佐藤はビールの泡を元につけたまま、勝ち誇ったように私を指差した。 「息子が職でビールかけられて苛められてるなんてったら、恥ずかしくて親父のほうが逃げすわ! なあ由美、おもそううだろ!?」
突然話を振られた由美先輩は、ビクッと肩をねさせた。 「え……あ、あの……部、もうその辺りで……健君も反省しているといますし……」
「ああん!? 誰が庇っていいっつったよ!」 佐藤の顔が、瞬で凶暴な肉獣のように歪んだ。 テーブルのの取り皿がガタガタと音をてる。 「お、最俺に見することが増えたよな? 自分が誰のおかげでこの会社にいられるのか、忘れたのかよ!」
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佐藤は元に置いてあった級ブランドのビジネスバッグをガサゴソと漁り、から分いクリアファイルを引き抜いた。 そして、そのから取りした枚の類を、由美先輩の先へバチンと叩きつけた。
「これを見ろ!」
類の最部には、太いゴシック体でこう印字されていた。 【過失に伴う業務損失報告 兼 懲戒処分申請】
由美先輩の瞳が、恐怖で見かれた。 「な……なんですか、これ……?」
「何ですか、じゃねえよ! 先の注費の精算、おの入力ミスで、取引先に【百万円】の過送がわれてたことが判したんだよ!」 佐藤は唾をばし、蛇のようにねっとりとした笑みを浮かべた。 「会社の百万をドブに捨てたんだ。本来なら懲戒解雇、全額損害賠償請求もんのお粗末な祥事だぞ」
「そ、そんな……! 私、先の注費の入力なんて担当していません! あのデータは、部が直接経理課へ回されたはずです!」
「証拠はあるのかよ!?」 佐藤はちがり、由美先輩を見ろして鳴りつけた。 「経理のシステムログには、おのIDでアクセスした記録が残ってんだよ! おがミスを隠蔽するためにやったんだろ!」
嘘だった。 私は瞬に理解した。 に私が見つけた、妻のダミー会社への百万の正送。 親会社の特別監査の音がづいていることを察した佐藤は、その使途の全責任を、由美先輩の「誤送ミス」
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に仕てげ、彼女を代わりに差しすことで自らの横領を隠蔽しようとしていたのだ。
「だがな、由美」 佐藤は声を落とし、背筋が凍るような甘ったるいトーンで囁いた。 「俺はおの司だ。けはある。……この報告に署名して実印を押せ。そうすりゃ、俺の裁量で『社内での厳注』で済ませてやる。もちろん、のボーナスは全額カット、基本は等級格だがな。……首になって、入院のお袋さんがに迷うよりは、マシだろ?」
「あ……っ……」 由美先輩の顔から、完全に血の気が引いた。 唇が青に変し、呼吸が浅く乱れる。
退職を突きつけられれば、母親の透析と胃瘻の管理費用が払えなくなる。 それをり尽くしたで、佐藤はこの逃げのない罠を仕掛けていたのだ。 由美先輩の震える指先が、バッグのから朱肉のついた印鑑ケースを取りそうと、頼りなくき始めた。
そのだった。
スッ――。
私は濡れたスーツのままちがり、由美先輩のに置かれていたその報告を、無言で横からひったくった。
「おい……ッ! 何しやがる、健!!」 佐藤の号が居酒の壁を揺らした。
私は類を両で持ち、文面の最部――『送』と記された項目を指先で弾いた。 「佐藤部。この報告、付がデタラメですよ」
「ああん!? 何寝言言ってんだ!」
「送実が、先の『・曜』になっています」