"臨月の私を追い出し、新居を売ろうとした義母" 第14話
事に内容を確認し、名を勝にき込まない条件を守った。
理恵は呼ばなかった。誕だから全員で解する必はない。甥と姪から届いたカードは音のアルバムへ入れ、子ども同士の関係をの争いと同じにしないようにした。
私はクリニックへ復帰し、週4の勤務を続けている。宅の請求点検もに数回担当し、産より収入はし減ったが、保育園の迎えと両できた。健太は異が認められ、期張はに度程度になった。
復帰してか目、受付で患者の族から「お母さんなんだから、子どもがさいうちはにいたほうがいい」と言われた。以の私なら笑って流し、帰宅に傷ついていただろう。そのは、庭ごとに必な形が違いますから、とだけ答え、次の患者を案内した。
働くことは、美代子へ勝った証ではなかった。疲れて夕を作れず、健太が総菜を買うもある。音がをし、私ばかり退が続いたには、夫婦での残りを表にして分担を変えた。派な母親に見えることより、誰かが倒れない仕組みを作るほうを選んだ。
方、理恵はサロンを畳んだあと、駅の美容へ週5で勤め始めた。雇われるのはを諦めることだと抵抗していたが、固定から返済額を引き、残ったで暮らす活は、売予測だけで膨らんだ計画より確かだった。
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半、彼女は初めて自分名義の座から原状回復費を振り込んだ。
振込に届いた文面は、《今分です》のだけだった。謝罪も況報告もない。私は受領したと返信し、それ以の言葉を求めなかった。反省が美しい文章になることより、翌も約束した額が届くことのほうがだった。
夫婦のにも、完全に問題が消えたわけではない。健太が母からの話を隠し、私を配させまいとで処理したことがあった。私は、隠すことも守ることではないと伝え、連絡内容を共するルールへ戻した。
ある、産会社から隣の相昇をらせる案内が届いた。健太は冗談で、「今ならあのよりく売れるかも」と言った。私は胸がざわついたが、夫はすぐ、売るというではないと謝った。
私たちは案内を捨てず、テーブルので緒に見た。の価格、残ローン、将来の活。過の来事に触れるから話さないのではなく、今度はで数字を確認する。売るかどうかは、そのの私たちが決めればいい。
数、音が幼稚園へ入る、玄関の棚を理していると、あののタクシーチケットがてきた。美代子が私を実へ送るため用したものだ。封筒には、《里帰り産 片》とかれている。
私はしばらく眺め、裏返した。い余へ、音が青いクレヨンでの絵を描いた。
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根はきく傾き、窓がつもある。真んには私と健太と音が並び、端に祖母たちらしいさながいた。
「これは誰?」
私が尋ねると、音はを私の母、もうを美代子だと答えた。ただし美代子のは別のに描いてあり、「おばあちゃんは、会うに来るの」と言った。
同じにまなくても、族でなくなるわけではない。鍵を持たせなくても、会うは作れる。を渡さなくても、困ったに相談先をらせることはできる。
私はタクシーチケットをアルバムへ入れず、細かく破って捨てた。証拠として必な期は終わり、もう保管する理由がなかった。
その夜、健太が玄関の鍵を閉め、私へ確認した。
「戸締まり、これでいい?」
私は自分でも窓を見て回り、最に頷いた。誰かが決めた全へ従うのではなく、自分で確かめて選ぶためだった。
美代子はかつて、私へ「もう戻らなくていい」と言った。
私は追いされなかったから戻れたのではない。ていくに類を持ち、録音し、相談し、の権利を自分で守ったから戻った。
居では音が、淡い緑の壁へ背を向けて積みを並べていた。サロンの施術ベッドが置かれていた所には、さな本棚と丸い机がある。傷を消しただけではない。私たちはその所へ、別の使いを選び直した。
私は娘の隣へ座り、赤い積みをつ渡した。
「ここ、ママのおうち?」
音が尋ねた。
「ママとパパと音が、むと決めたよ」
所することより、決められることが切だった。
玄関の鍵は、今も本しかない。