"臨月の私を追い出し、新居を売ろうとした義母" 第1話
「臨なんだから、今から実へ帰りなさい。赤ちゃんがまれるまで、ここは私たちに任せて」
妊娠36週に入った朝、義母の美代子は、私のキャリーケースを玄関へ運んでそう言った。私は頼んでもいない。里帰り産をする予定もなく、産院までは今のからで12分、実からなら1くかかる。
「健太さんとも、自宅で産を迎えると決めています」
「健太はでしょう。予定まで戻れないに何が分かるの」
夫の健太は建設設備会社に勤め、札幌の商業施設で起きた配管事故の応援へていた。10の予定で、帰宅は翌週。発には凍品を買い、事代も申し込んでくれた。
ところが夫がを空けた翌から、美代子は鍵で毎朝やって来た。妊婦をにできないと言いながら、蔵庫のを確認し、産用品を並べ替え、私宛ての郵便まで先にけた。断ると、「息子のを見て何が悪い」と嫌になった。
その、玄関には見覚えのない靴が6並んでいた。用のスニーカーとパンプス、子どもの運靴が。居へ入ると、義妹の理恵と、その夫の翔太、学の子どもがテレビを見ていた。
「お姉さん、しばらくお世話になります」
理恵は悪びれずに笑った。ソファの横には段ボール箱が積まれ、子ども部として準備していた畳から、ベビーベッドと装棚が廊へされている。
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代わりに学習机が台運び込まれていた。
「どういうことですか」
美代子は、理恵たちの賃貸宅が漏れで使えなくなり、修繕が終わるまでを寄せるだけだと説した。期を尋ねると、「、かでしょう」と曖昧に答えた。
「その、私はどこにむんですか」
「だから実へ帰ればいいでしょう。お母さまだって、初孫の世話をしたいはずよ」
私の母は膝の術を受けたばかりで、階段のある古い実で暮らしをしている。世話をしてもらうどころか、私が事を担うことになる。美代子には何度も話していた。
理恵の夫・翔太は私と目をわせず、テレビの音量をげた。子どもたちはすでに蔵庫からジュースをしている。私のなのに、私だけが招かれていない客のようだった。
このは結婚4目に購入した古宅で、の7割を私の独代の貯からした。名義は私と健太の共で、宅ローンもで返している。夫の実の物でも、美代子のでもない。
「私はていきません。理恵さんたちが今に別の所を探してください」
美代子の顔から笑みが消えた。彼女はバッグから茶封筒をし、私のへ置いた。には実きのタクシーチケットと、産1か分の活費として10万円が入っていた。
「妊娠に揉め事を起こすの? こののだって、健太が働いたから貯められたおでしょう」
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「結婚の貯です」
「夫婦になったら、どちらのおかなんて関係ないわ」
私はスマートフォンの録音を始し、テーブルへ伏せて置いた。美代子はそれに気づかず、里帰りはを空けるより族に使ってもらうほうが防犯になる、健太も反対しないと話し続けた。
「夫に確認します」
「今、現で変なのよ。こんなことで邪魔をしないで」
話をかけると、健太は圏だった。私はメッセージへ、のと段ボール箱の写真を添付した。《お母さんが理恵さんをまわせ、私に実へくよう求めています。私は同していません》と送った。
その、玄関のチャイムが鳴った。美代子は私よりくちがり、見らぬスーツ姿の男女を迎え入れた。胸元には産会社の名札がある。
「今は内覧ではなく、採寸だけと聞いています」
男性はそう言い、取り図をいた。
図面のには、《売却希望価格 4,680万円》と印刷されていた。
私は産会社のへ、自分が共名義であり、売却へ同していないと伝えた。担当者の顔が変わり、元のタブレットを確認した。相談者は夫の母・黒川美代子、所者代理として提された名刺には、健太の勤務先と役職が記載されていた。
正式な媒介契約はまだ結ばれていない。今は査定のため内を確認し、売却に必な修繕を見積もる予定だったという。