"入学式の日、愛人を選んだ夫への「お祝い」" 第12話
「本当ですか? ドレッシングの配をし変えてみたんです。んでもらえてよかった。……今夜、またあのマリネでワインを本けちゃいましょうか」
「いいわねえ! あ、でもでんでるってれたら、また美ちゃんにられちゃうかしらね」
「あはは、絶対に嫉妬されますね。『ずるい、私も混ぜて!』って、仕事帰りにタクシーで乗り込んできますよ」
顔を見わせて、で声をげて笑いう。
美は今、会社できなプロジェクトを任され、忙しくも充実した毎を送っている。 休みのには必ず「ママ、おばあちゃん、元気にしてる?」と顔を見せに来てくれる、優しくて自の娘だ。 父親がいなくても、を注いでくれるの母親に守られ、彼女は何つ歪むことなく、真っ直ぐにの階段を登りきった。
ふと、富美子が私の元を見つめ、静かにその皺の刻まれた温かいをねてきた。
「……本当に、頑張ったわね、カナさん」
「え……?」
「あなたが、あの絶望なにもを向き、母親として、の女性として凛とした姿を貫いてくれたからこそ、美ちゃんはあんなに優しくてい子に育ってくれたのよ。……私の来損ないの息子のせいで、あなたに背負わせてしまった苦労をえば、私なんていくら謝してもりないくらいなのに」
義母の瞳に、っすらと涙が浮かんでいた。
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私は首を横に振った。
「いいえ、お母さん。私の方こそ、お母さんがいてくださらなかったら、あの入学式のにが折れてしまっていたといます。……私にとって、お母さんは世界で番頼もしくて、好きな、本物の『お母さん』です」
「……ありがとう、カナさん」
のに、言葉のいらない温かな沈黙が流れた。
血の繋がりなどなくても、誠とを持って紡ぎ直した族の絆は、どんな嵐にも決して千切れることはない。
ピンポーン。
その、玄関のインターホンが軽やかに鳴り響いた。 モニターを見ると、きな袋を抱えた美が、満面の笑顔でカメラに向かってを振っていた。
「ママ、おばあちゃん! 初任で買ったワイン持ってきたよー! けてー!」
「ほらね、言った通りでしょう」
私と義母は顔を見わせ、声をして笑いながら、しい幸福の音を迎えるために、玄関へと駆けしていった。
窓のには、どこまでも澄み渡る、どこまでも青いの空が、果てしなく広がっていた。