"入学式の日、愛人を選んだ夫への「お祝い」" 第3話
常識すららないの?」
「あ、当たりだろ! 俺が夫なんだから、俺がせば通るとうのが普通だろ! 委任状とか戸籍謄本があれば代理でせるってネットにいてあったぞ!」
「それは本が署名捺印したでの話よ。勝に偽造でもする気だったの? それ、派な印私文偽造罪よ」
私がややかに指摘すると、健吾は「うっ……」と喉を詰まらせ、顔を真っ赤にして退りした。 そこへ、リビングの奥から着物姿の義母が、パチパチとゆっくり拍をしながら現れた。
「まあまあ、健吾。相変わらずがりないのねえ。法律も常識もらないで、よく以もきてこられたこと。恥ずかしくないのかしら」
「お、お袋!? なんでここにいるんだよ!」
健吾がび退くように目を丸くした。母親のは定だったのだろう。
「なんでって、今はい孫の入学式よ? 父親がと役所で法為にを染めようとしている、私がしっかりとお祝いしてあげたんじゃないの」
義母はたい線で健吾を瞥すると、ふっと艶やかな笑みを浮かべた。
「でも、ちょうどよかったわ。健吾、あなたも疲れたでしょう? 今は本当に々なことがあった『特別な記』ですものね」
「は……? 特別な記……?」
「そうよ。美ちゃんの入学式であり、あなたが庭を捨ててとしいを歩もうと決した、素らしい旅ちのじゃないの。
広告
……せっかくだから、母親の私から、あなたに最のお祝いを用しておいたのよ」
義母は居のテーブルのを指差した。 そこには、直径センチはあろうかという、純のレースで飾られた巨な円筒形のケーキボックスが、厳にリボンをかけられて鎮座していた。
「な……なんだよ、それ」
健吾は毒気を抜かれたように眉をひそめ、テーブルのの巨な箱を怪訝そうに見つめた。
「見れば分かるでしょう? 特注のデコレーションケーキよ」 義母は嬉しそうにを叩き、箱の蓋を両で恭しく持ちげた。
現れたのは、息を呑むほど豪奢な段ねのいケーキだった。 表面には純のバタークリームが薔薇のびらのように幾にも絞りされ、のアラザンがキラキラとを反射している。トップには、チョコプレートで美しくかれたメッセージが添えられていた。
【祝・活スタート! 健吾の輝かしいへ】
「おら……狂ったのか? 俺が婚するって言ったんだぞ? 嫁とを乗り換えるって言ったんだぞ? なんでケーキなんか用してんだよ」
健吾は気悪そうに退りしたが、その顔の端には「母親も妻も、結局は俺の決断に屈し、嫌を取ろうとしているのだ」という浅ましい優越が滲みていた。
「いいじゃないの」私は微笑みながら、キッチンの引きしから刃渡りセンチの鋭利な牛刀を取りし、柄を健吾へと差しした。
広告
「あなたがそこまでしてしいを始めたいなら、私たちも笑顔で送りしてあげようとったのよ。ねえ、お母さん?」
「ええ、その通りよ」義母も頷く。「男が度決めたですもの。未練がましく引き止めるような無粋な真似はしないわ。その代わり、こののケーキには、主役であるあなたが最初にナイフを入れなきゃ始まらないわ。さあ、健吾。いっきり力を込めて、真っつに切りきなさい!」
「へっ……なんだよ、最初からそうやって従順にしてりゃげもあったのによ」
健吾はすっかり気を良くし、で笑いながら牛刀を受け取った。 刃先をケーキの頂点、チョコプレートの真横へと突きてる。
「じゃあ、慮なく切らせてもらうぜ。これで俺とおの腐れ縁も真っつ、ってわけだ!」
グッと体をかけて刃を押し込む健吾。 だが――。
ガツンッ!
鈍い衝撃音が内に響き、健吾の首がピタリと止まった。
「……あ? なんだこれ、えぞ?」
刃先が、ケーキの表面からわずかセンチ沈んだところで、まるで質の岩にでもぶつかったかのようにね返されたのだ。
「あら、どうしたの健吾? 男のくせに、ケーキつ切る力もないの?」 義母が煽るように眉根を寄せる。
「ち、違う! なんかにいもんが入ってんだよ! 凍のまま解凍してねえんじゃねえのか!?」