"入学式の日、愛人を選んだ夫への「お祝い」" 第1話
「ねえ、あなた今どこにいるの? もうすぐ受付が終わっちゃうよ!」
満の桜が桃のびらを散らす学の正。板の横には『入学式』の黒文字が誇らしげに掲げられ、紺のブレザーや真しいワンピースを着た親子連れが、れやかな笑顔で記写真を撮りっていた。
携帯話のスピーカーから返ってきたのは、そんなの祝祭の空気をで踏みにじるような、軽極まりない夫・健吾の声だった。
『ん? ああ、俺? 今さ、瑠奈と緒に区役所に婚届しに来てんだよねー。式にはけないから、悪いけどおらだけでやってくれやw』
背から、ガヤガヤとした役所のロビーの喧騒と、若い女の甘ったるいクスクス笑いが漏れ聞こえてくる。
「……は? 婚届? 何を言ってるの……? 今はミカの、に度の学の入学式なのよ!?」
『だから言ったろ? おとのえ切った結婚活は今で終わり。俺は若くてい瑠奈としいを始めるんだよ。細かい荷物はで取りにくから、おもさっさと部探しててってくれよな。じゃ、提してくるから切るぞー』
ツーツーツー……。
元で途切れた無質な子音。 元を握るさなのひらが、微かに震えていた。
赤のランドセルを背負い、ピンクのワンピースを着た歳の娘・美が、そうにきな瞳を揺らしながら私を見げている。
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「ママ……パパ、来ないの……? ミカのかっこいいランドセル、見てくれないの……?」
「ミカ……」
胸が張り裂けそうだった。こののために、ランドセルのを何もから緒に選び、何度も背負って鏡のでポーズをとっていた娘。その無垢な期待を、この父親はと浮かれて平然と投げ捨てたのだ。
目眩がするほどのりと屈辱で界が真っ赤に染まりかけた、そのだった。
「――貸しなさい、カナさん」
隣に凛としてっていた着物姿の女性が、私のから静かにスマートフォンを引き取った。 健吾の実の母であり、私の義母である富美子(歳)だった。
義母は通話履歴の画面を見つめ、それから美のさなを優しく撫でた。 その瞳の奥には、切に育ててきた息子に対するのなど、欠片も残っていなかった。宿っていたのは、絶対零度の徹な殺にも似たりだった。
「……なるほどねえ。学のれのに、と役所で婚届、ですか」
義母は元に、見たこともないほど凄惨で、恐ろしい笑みを浮かべた。
「本当におめでたいねえ。……これは、母親の私から盛にお祝いをしてあげなきゃいけないわね」
「お、お母さん……?」
「カナさん、揺することはありませんよ。あのバカ息子は、根本な現実すら見えていないただの脳気な阿呆です。……いいこと? 今は美ちゃんの最の記。
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あんなゴミのことはの隅から綺麗さっぱり消して、まずは世界で番素敵な入学式にしてあげましょう」
義母は美のに屈み込み、満面の優しい笑顔を作って見せた。 「美ちゃん、パパがお仕事で来られなくなった分、おばあちゃんが番の席で美ちゃんのい姿をしっかり見つめてるからね!」
「うん……! おばあちゃん、ありがとう!」
美が笑顔を取り戻し、私たちは講堂へとをめた。 だが、義母が私の元に顔を寄せ、く囁いたその言を、私は今でも忘れることができない。
「カナさん。今夜、あの子が帰ってきたら……忘れられない『お祝い』をしてやりましょう。私の実の倉庫から、あるものを取り寄せてありますからね」
義母のが、バッグの奥にある固い何かを撫するように撫でていた。
入学式は、義母の宣言通り、温かく誇らしいとなった。 入点呼で美が元気よく「はい!」と返事をした瞬、保護者席の最列で義母はハンカチを目元に当てて本気で涙ぐんでいた。
教での担任からの挨拶を終え、庭の桜のでで写真を撮り、駅のレストランで入学祝いのオムライスをべた。美が嬉しそうにフォークをかす姿を見守りながら、私の胸のには、過にわたる健吾の解な言の数々が、たいパズルのように組みがっていた。