みかん小説
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"一度も抱かれなかった娘" 第16話

ページをめくるが、止まらなくなった。

。 お義母さんがに来た。 お腹の赤ちゃんのベビーベッドも、肌着も、ベビーカーも、すべてお義母さんが指定したもの以は買ってはいけないと言われた。 私が選んださな柄のロンパースを見せたら、お義母さんは「っぽい、相原のの跡取りにこんな汚いものを着せる気か」とゴミ箱に捨てた。 俊さんは、隣で見ていたのに何も言ってくれなかった。 それどころか、お義母さんが帰った、「母さんの言う通りにしろ。おは世らずなんだからすな」と私を鳴った。 息ができない。このには、私の呼吸する空気がない』

。 私の預通帳とキャッシュカードを、俊さんに取りげられた。 「お覚がおかしい。これからは必な分だけ、俺が毎渡す」と言われた。 、千円。スーパーのレシートと、お釣りの銭をテーブルに並べて確認されないと、次の千円をもらえない。 友達とランチにくことも、千話をすることすら、「誰の活してるとってるんだ」と咎められる。 スマートフォンの通信履歴を毎チェックされるようになった。 私は、俊さんの妻じゃない。監されている囚だ』

「やめろ……」 私のから、無識に掠れた声が漏れた。 界が歪む。

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に並ぶ文字が、黒い虫のように蠢いて見えた。

違う。 母は、良かれとってやってくれたのだ。相原のの初孫だから、恥ずかしくないようにと。 そして私も、茜が実の母とうまくやれるように、妻を正しく導こうとしていただけだ。 男がの主として、計を管理して何が悪い。妻の交友関係を把握して、何が悪い。

だが、ページをめくるたびに、茜の文字は次第に乱れ、面には涙で滲んだ跡が点々と広がっていた。

。 もうすぐまれる。 お義母さんが、「産はうちの実で引き取る。茜さんは事だけしていればいいの、育児は私が完璧にやってあげるから」と言った。 俊さんも、「それがだ」と頷いた。 私の赤ちゃん。私が、お腹ので育ててきた、私の命。 このたちは、私の体から赤ちゃんを取りしたら、私を捨てる気なんだ。 私の居所は、最初からこのになかった。 逃げなきゃ。 この子を、俊さんとお義母さんの操り形にさせないために。 私は絶対に、この子を連れて逃げる』

で、が激しく擦れる音がした。 私の指先が、痙攣するように震えていた。

した?」 向かいの席から、千徹な声が突き刺さる。 「茜はね、ずっと耐えていたのよ。あなたとお義母さんのあの異常な支配に、お腹の子を守るために必で耐えていたの。

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そして私に助けを求めてきた」

枚のメモ用を私のに滑らせた。 そこには、千と茜が打ちわせていた、脱計画のタイムラインが記されていた。

産院で、母子同が始まったら、退院朝に千で迎えにくこと。 そのまま県の母子シェルターへ直し、民票の閲覧制限をかけ、弁護士を通じて婚と親権の調を申してること。 そのために、茜は産直、痛む体を無理に引きずって『母子同申請』を提したのだ。 赤ん坊を自分の腕のに抱き、瞬たりともさないために。

「でもね」 千の瞳から、すっと温度が消えた。 その瞳に宿ったのは、越しの、底れない憎悪だった。

「あなたは、それに気づいたのよね」

喉が、完全に塞がれた。 呼吸ができない。 喫茶ぬるい空気が、肺に入ってこない。

そうだ。 あのの、の夜。 陣痛が始まり、病院へ運び込まれた茜のバッグを、私は病で漁ったのだ。 妻の所持品をチェックするのは、私の常の習慣だったからだ。 そして、バッグの底から見つけてしまった。 千とやり取りしていたメモと、弁護士事務所のパンフレット。 そして、茜の署名と捺印がすでに済まされていた、緑婚届。

あのの、目のが真っ赤に染まったような激。 裏切られたという屈辱。

私の庇護のもとで、私ので暮らしていながら、この女は私を捨てる気だったのかという、猛烈な憎悪。

私は、茜が産を終え、分娩から病へ戻ってくるのを待ち構えた。

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