"診察室に入れなかった私" 第2話
【週健診】 『胎盤血流の軽度抵抗昇につき、精密検査を提案。妊婦本、投薬および追加検査をく拒絶。「自然な経過を見守りたい」とのこと。配偶者より分な説得を試みるも本同せず。経過観察』
【週健診】 『糖耐量検査異常値。血糖コントロールおよび教育入院の必性を説。妊婦本、猛烈に反発。「胎児に余計な化学物質を入れたくない」と主張。配偶者は治療の必性を理解し困惑の表を見せるも、本のい志により治療延期』
【週健診】 『産マーカー陽性、静指導および子宮収縮抑制剤の処方を提示。妊婦本、副作用を理由に断固拒否。「薬に頼る母親になりたくない」と発言。配偶者が宥めるも聞き入れず。署名拒否』
画面に並んだ無質な黒い文字が、私の界を狂ったように揺さぶりました。
週。 週。 週。
付を見るまでもなく、そのの記憶が鮮に脳裏をよぎりました。 その回とも、私は確かにこの病院に来ていました。 けれど、診察のには歩もを踏み入れていなかったのです。
『千、顔が悪いよ。待の子、くて腰に響くだろう?』 健のあの、どこまでも甘やかで優しい声が蘇ります。
『今は予約が詰まってて以待つらしいんだ。奥のラウンジに柔らかいソファがあるから、そこで温かいルイボスティーでもんで待ってて。
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先への経過報告と類の受け取りは、俺が全部済ませておくからさ』
『でも、私も話を聞いた方がいいんじゃない?』 そう慮がちに言った私に、健はふわりと笑って、私のをおしそうに撫でたのでした。
『馬鹿だなあ、千は余計なストレスをじないのが番の仕事だよ。病院の消毒液の匂い、つわりに障るだろ? 俺が全部メモ取ってくるから。君と赤ちゃんを守るのが、夫である俺の役目なんだからさ』
診察から戻ってきた健は、いつもしきった笑顔を浮かべていました。 『先、母子ともに順調だって太鼓判押してくれたよ。血圧もバッチリ、赤ちゃんも標準サイズ。千が毎頑張ってくれてるおかげだね、ありがとう』
そう言って、健は処方箋もされていない領収だけを私のマタニティバッグにしまい、帰りには私の好きな果物を買ってくれました。
あのの健の笑顔。 私を気遣ってくれる優しい。 周囲の妊婦さんたちが「あんなに甲斐甲斐しい旦さん、羨ましいわね」と囁きっていた線。
そのすべてが、このカルテの記録と噛みいません。
「……うそ……」
私のから、擦れた声が漏れました。
「私、この回……診察に入っていません」
「え?」
神医師が目を丸くしました。護師さんも息を呑む気配がします。
「何を言っているんですか。
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毎回、ご主があなたを説得するために何度も待と往復して……最には『妻がどうしても嫌がって泣いてしまって、無理に処置を受けさせると精神におかしくなりそうだから、今は連れて入れない』と、をげていらっしゃいましたよ?」
血の気が、音をてて元へ引いていくのが分かりました。
往復していた? 説得していた? 私が、泣いて嫌がった……?
健は、待の私には「まだ順番が来ないから、ゆっくりお茶んでてね」と優しく声をかけ、診察のでは「妻が狂ったように治療を拒絶している」と嘘をつき続けていたというのでしょうか。
「私、度も……度も薬を拒絶したことなんてありません!」
私の声が震えて、診察のい壁に反響しました。
「血流のことも、血糖値のことも、今初めて聞きました! 私は、妊娠してから毎朝決まったに葉酸をんで、塩分を量って、しでも赤ちゃんが元気に育つように……それなのに、どうして……!」
涙が次から次へと溢れし、止まらなくなりました。 取り乱す私を見て、神医師の表が劇に変化しました。 ややかだった瞳から猜疑が消えり、代わりに医師としての鋭い警戒と、底れぬ事態に対する戦慄が浮かびがっていました。
「佐藤さん、落ち着いて。護師さん、ティッシュとおを持ってきて」
医師はデスクのを乗りし、私の目をまっすぐに見つめました。