"ゴミ箱の隣に座る学年一位" 第2話
「辞めさせられたんじゃないよ。の子にも経験させた方がいいって、松井先と話して、私から譲ったの」 「どうしてそんな勝なことをするの!」
私はわず声を荒らげていました。
「の学期がどれだけ事か、あなただって分かっているでしょう! 推薦の調査に学級委員の経歴があるのとないのとでは、の差よ! それに、あんなろの席じゃ黒板の文字も見えにくいし、集できるわけがないじゃない!」
私の激しい言葉を、は両を体ので揃えたまま、微だにせずに受け止めていました。 泣き叫ぶでもなく、言い訳をするでもなく、ただ静まり返った部ので、たい理のように佇んでいました。
「黒板なら、ちゃんと見えるよ。ろの方がの席ののも気にならないし、案集できるの」 「!」 「お母さん」
は静かに私の目を見据えました。 その目は、私が度も見たことのないような、い沈黙をたたえていました。
「先のあの席の決め方は、これでいいの。私が納得して座ってるんだから、お母さんが学に文句を言ったりしないでね」 「な、何言ってるの……。納得できるわけないでしょう! 、私から松井先に話します」 「やめて」
の唇から零れ落ちたい拒絶の言葉に、私は息を呑みました。
「お願いだから、これ以私を惨めにしないで。
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学のことにはをさないで」
はそれだけ言うと、背を向けて洗面所へと消えていきました。 蛇から勢いよくが流れる音が、静まり返ったリビングに響き渡りました。
惨め? どうして、守ろうとしている親に対してそんな言葉がるの?
私はその夜、もできませんでした。 の部のドアの隙から漏れるかりが、夜を過ぎても消えませんでした。 部のからは物音つ聞こえてきません。ペンをらせる音すらしない。 私は何度もドアをノックしようとを伸ばしましたが、の「やめて」という拒絶の声がの奥で蘇り、指先を引っ込めざるを得ませんでした。
何かがおかしい。 絶対に、何かが起きている。
翌の放課、私はの忠告を無して、桜ヶ丘の職員へと向かいました。 親として、黙って見過ごすことなどできるはずがありません。もし娘が理尽な目に遭っているなら、私が正さなければならない。それが母親の役目のはずでした。
い鉄の扉を押しけ、担任の松井先を呼びしました。 松井先は代半ばの真面目そうな男性教諭で、数学を担当していました。 職員の奥にあるさな面談スペースに通された、先の顔にはらかな戸惑いと、気まずさが浮かんでいました。
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「さんのお母様、急なお呼びてで……さんの件ですね」 「はい、先。単刀直入に伺います。なぜを番ろの席に移させたのですか? それに、委員をされた理由も納得がいきません」
私はテーブルのに両を置き、傾姿勢で詰め寄りました。
「は入学してからずっと、学業でも活態度でも模範な徒でした。何かあの子が、則に違反するようなことでもしたのですか? それとも、何かのお子さんとトラブルでもあったのでしょうか」
松井先は困ったように線を落とし、机のの指を組んだり解いたりしました。
「いえ……さんが何か問題を起こしたということは、切ありません。彼女の学業成績は申し分ありませんし、提物も完璧です」 「でしたら、なぜですか! あんな、教の吹き溜まりのような所に座らせて……の保護者の方からも『ちゃん、何かやらかしたの?』と聞かれたんですよ? あの子がどれだけ傷ついているか、先は考えなかったのですか?」
私の激しい追及に、松井先は静かに息を吐きました。 そして、ひどく慎に言葉を選びながら、こう言ったのです。
「お母様のお気持ちは痛いほど分かります。ですが、今回の席の配置は、私ので決めたことではありません。さん本と、何度も面談をねて決定したことです」
「が? があんな席を望むはずがありません!」 「望んだ、と言いますか……彼女がく希望したのです。