"妊娠8か月の私に28人分のおせちを作らせた義母" 第5話
康平が最寄り駅へ着いたのは午1020分だった。奈津美が迎えにくと言ったが、私は夫にタクシーで自宅へ向かってもらった。まずの状態を確認し、残っている料理を誰にも渡さないようにする必があった。
夫とは映像通話をつないだ。玄関をけると、廊には空の材箱と濡れた靴が散らばり、居から笑い声が聞こえた。注文品の受け渡しを終えた親族が、余った料理で宴会をしていた。
康平は挨拶もせず台所へ向かった。流しには油の浮いた鍋がなり、には割れた栗の甘煮の瓶が聞をかぶせただけで残っている。私が最に使った子のそばには、血圧計と診察券が落ちていた。
蔵庫をけると、ラベルのない煮物が鍋のまま詰められていた。温に置かれた料理もあり、何に作ったか分からない。康平はつずつ写真を撮り、配布済みの数と受取を尋ねた。
「何よ、帰ってくるなら連絡くらいしなさい」
千鶴子が居からてきた。には酒の入ったグラスがあり、私が病院へったことより、息子が予定を変えたことに腹をてている様子だった。梨は泣き腫らした顔で、兄を見るなり私のせいで商売が台無しになったと訴えた。
康平は鳴らなかった。テーブルのにあった箱を裏返し、許番号のラベルを指した。
広告
「この番号、どこから取った」
「優奈さんの古い類よ。資格があるの番号でしょう」
「これはの資格番号じゃない。ホテルという施設の営業許番号だ。ここで作った料理へ使えるわけがない」
千鶴子は、族同士の試作品だから細かいことは問題にならないと言った。康平は、試作品ならなぜ31万円以を集めたのか、なぜ母親の座ではなく梨の事業座へ入れたのか、なぜ妻の顔写真を広告へ使ったのかと順に尋ねた。
義母はつも正面から答えず、「優奈さんは妊娠してから神経質になった」「族を警察へ売るような真似をしている」と話をずらした。親戚たちは気まずそうに箸を置いたが、誰も帰ろうとはしなかった。
康平は玄関へき、靴箱のの鍵を取った。千鶴子が「それは私の鍵よ」と言うと、夫は鍵をポケットへ入れた。
「このは俺と優奈がローンを払っている。母さんが緊急に使う約束で渡した。優奈の体調が悪いに、無断で28分の商売をするための鍵じゃない」
続いて親戚へ、今はここで終わりにしてほしいと告げた。持ち帰ろうとする料理は止め、すでに配った物もべないよう連絡すると説した。満そうな叔父が「せっかくの晦にげさだ」と笑うと、康平は箱のラベルを見せた。
「毒になれば、名を使われた優奈と、番号を使われたホテルが疑われます。
広告
げさだとう方は、自分の名を製造者として貼って持ち帰ってください」
誰もを伸ばさなかった。
親戚が帰ったあと、康平は配布先覧をすよう梨へ求めた。梨は私が写真を流したせいで信用を失ったと言い、スマートフォンを渡さなかった。すると康平は自分の端末から、彼女へ振り込んだ12万6000円の細をいた。
「から返方法の確認が来た、母さんが優奈は入院すると言った。俺は話にられず、あとで確認するつもりだった。でも返先の変更を承認した覚えはない。には経緯を照会する」
千鶴子は、息子が忙しいから代わりに続きしただけだと認めた。から届いた本確認メールを、族で共していたタブレットからき、康平の名で返信したという。パスワードは、以息子から教えられていた。
康平はそのでパスワードを変え、端末から全アカウントをログアウトさせた。さらにクレジットカード会社へ連絡し、カード番号変更の続きをした。派な仕返しではないが、義母が息子の名義を当然のように使える状態をつずつ閉じていった。
「優奈はどこにいるの」
千鶴子が初めて尋ねた。康平は姉のにいるとだけ答え、所は教えなかった。診断の内容も、私の許なく話さなかった。
梨は創業計画を持ちそうとした。
康平が止めると、の束がへ落ち、そのから信用庫の相談記録がてきた。