"義母の合鍵が入らない" 第3話
という顔をしました。
「けたって……母さんも善でやってくれたんだろ? 荷物が玄関に転がってたら危ないとったんだよ。常備菜だって、悪くなりそうに見えたんじゃないか? そんなに責めるようなことかよ」
「私のプライベートな荷物よ。は仕事の類と、化粧品。けていい理由なんてどこにもないわ」
「だから、悪気はないって言ってるだろ!」
健は箸をテーブルに叩きつけるように置きました。
「母さんは俺たちのために、わざわざいタッパーを持ってに乗って来てくれたんだぞ? どうして真っ先に『ありがとう』が言えないんだよ。由はいつもそうやって、母さんのやることを悪にとる。おがそんなにピリピリしてるから、母さんも気を使っていろいろやってくれてるんじゃないか」
暗いリビングに、健の苛った声が響きました。 彼は本当に、の底からそう信じているようでした。 母親の為は「器用な」であり、それに傷つく私のは「過敏で偏狭な悪」なのだと。
「……そう」
私はそれ以、言葉をねませんでした。 ただ、静かに頷きました。
「わかってくれたならいいんだよ。俺だって板挟みになるのは疲れるんだからさ」
健は堵したように息を吐き、タッパーの煮物をに放り込みました。 彼は気づいていませんでした。
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私が引きがったのは、彼の言葉に納得したからではなく、この男に言葉を届けることを完全に諦めたからだということに。
その夜、健が寝息をて始めた、私はスマートフォンのメモ帳をきました。
『。無断ち入り。宅配便の無断封(籍・化粧品)。蔵庫内私物の無断廃棄。健に報告するも「悪気はない」と蹴』
画面のたいが、暗い寝ので私の指先を照らしていました。 私は涙を流しませんでした。 泣く代わりに、事実だけを、を交えずに記録していきました。
それからの週、義母の侵はごとに胆になっていきました。
週に回、あるいは回。 私が仕事から帰ると、部のどこかが必ず変わっていました。
洗面台に置いていた私のお気に入りのヒノキのアロマオイルは、「こんなな匂いは痛がする」という理由で流し台に流され、代わりにドラッグストアで売られている価な消臭ゲルが置かれていました。 私が休にアイロンをかけて綺麗に並べていた健のシャツは、すべて義母のやり方で畳み直され、クローゼットの配置は完全に義実と同じ順序に入れ替えられていました。
「由さんの畳み方だと、健の肩が凝るのよ」
テーブルに残されたメモには、いつもそうかれていました。
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私は何も抗議しませんでした。 捨てられたアロマオイルの空き瓶を写真に収め、入れ替えられたクローゼットを撮し、淡々とメモを更していきました。
健は、部が母親に染まっていくことに、むしろ居の良さをじているようでした。 「やっぱり実のは落ち着くな」「母さんが掃除してくれると助かるだろ」と、無神経な言葉を平然とにしました。 彼は、私が言も文句を言わなくなったことを、「妻が自分の図を理解し、母親を受け入れた」と完全に誤解していました。
男にとっての「平」とは、波がたないことそのものを指すのでしょう。 その面で、妻がどれほどのたいをみ込んでいるかなど、像することすらしないのです。
けれど、決定な破滅は、あまりにも唐突に、そして最も傲な形で訪れました。
、曜。 そのは朝から激しいがっていました。
社内の基幹システムの緊急メンテナンスが入ったため、私の部署は午で全員退社することになりました。 普段なら夜のを過ぎるまで帰れない平の昼がり。 私は濡れた傘を畳み、マンションのエレベーターに乗りました。 突然できた空のに、温かい茶でも淹れて、久しぶりに自分の部で静かに本を読もう。 そんなささやかな願いを抱きながら、私は自宅のフロアでりました。
内廊を歩き、自宅のドアのにったでした。
から、複数の笑い声が漏れ聞こえてきたのです。