"50億を消した傲慢行員の末路" 第38話
「にわたり……誠にありがとうございました。当は決して今の戒めを忘れませぬ……!」
専務の絞りすような声と、くをげる気配。そしてい取りでドアに向かう2の音。 ドアが静かに閉まり、彼らがっていったも、私はしばらくのそのにち尽くしていた。りもしみもない。ただのにぽっかりといた穴を通り抜けるたいをじていた。
「会、お疲れ様でございました」
ふいに背のドアがき、第1秘の佐藤が静かな取りで入ってきた。彼のには、見慣れない茶い封筒が握られている。 「佐藤か。彼らは帰ったか」 「はい。エレベーターホールで田はっていられなくなり、専務の方を借りてお帰りになりました。完全にが折れていらっしゃいました」
佐藤は淡々と事実を告げた。私はさくため息をつき、ソファに戻った。 「そうか。これで全て終わりだ。あの鈴という若者もこれで懲戒解雇になる。世体ばかりを気にする両親からも見放され、彼なりにい字架を背負ってきていくことになるだろう。これ以彼らを追及する必はない」
私がそう言って緑茶をんだだった。 「会、そのことなのですが……」
佐藤の声は普段の彼よりも1段く、そして鋭く響いた。私が顔をげると、佐藤の鏡の奥の目がたくっていた。
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彼はに持っていた茶い封筒から数枚のの束を取りし、ローテーブルのに音をてて置いた。
「なんだそれは?」 「先ほど探偵事務所からがってきた、鈴健太に関する最終の調査報告です。会はもういいとおっしゃいましたが、どうしても引っかかる点があり、個に調査を継続させておりました」
佐藤の言葉に私はわずかに眉を潜めた。 「実はあの鈴という男を起こしたのは、今回が初めてではありませんでした」 「どういうことだ?」 「3、彼はの頃に配属された別の支で、ある老夫婦に元本のリスクが極めてい投資信託を『絶対に儲かる』と嘘をついて売り付けていました。その老夫婦はの言葉を信じ、退職と老の貯のすべて、約2000万円を溶かしてしまったのです」
私は息をんだ。 「鈴は齢で融識のない老を図に狙い、自分の営業成績のノルマを達成するために、彼らの老資を騙し取ったも同型りの為をしていました。側は事実を隠蔽し、ただの投資の失敗として処理しましたが、老夫婦は絶望し、現も築古のアパートでギリギリの活をしています」
佐藤は報告の写真を指さした。そこに映っていたのは、腰の曲がった老夫婦が、さなスーパーで半額の惣菜をに入れている痛々しい姿だった。
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「そしてここからがなのですが……」佐藤はさらに言葉をついだ。「その老夫婦の苗字は渡辺と申します。会、30、資繰りに苦しんでいたがのに無償で資材を提供し、救ってくださった渡辺製作所の初代社ご夫妻です」
その名を聞いた瞬、私のから湯みが滑り落ちそうになった。 ――渡辺さんとは……?
目のが真っになるような衝撃だった。あの、いつも笑顔で私を励まし、およしで優しかった渡辺さん夫婦。会社を畳んだ、田舎で静かに老を過ごしていると聞いていたのに、その切な老の資を、あの鈴という男が自分の成績と見栄のために騙し取っていたというのか。
「会……」佐藤の徹な声が、私の胸の奥底に眠っていた何かを烈に揺さぶり起こした。「これはもはや会個のりの問題ではありません。がグループの恩を獄に突き落とした男が、のうのうときていくことなど許されるべきではありません」
私はテーブルの写真を見つめた。 50の恩義に報いようとした所で、30の恩が最悪の形で踏みにじられていた。 私ので静かなれみは消えり、決して覚めることのない青いりの炎が静かに燃えがり始めていた。
「佐藤、うちの顧問弁護士チームをすべてここに呼べ」
静のな空気を切り裂くように、私のからた声は自分でも驚くほどたく、そして静かに澄み切っていた。