"50億を消した傲慢行員の末路" 第29話
佐藤は報告の写真を指さした。そこに映っていたのは、腰の曲がった老夫婦が、さなスーパーで半額の惣菜をに入れている痛々しい姿だった。
「そしてここからがなのですが……」佐藤はさらに言葉をついだ。「その老夫婦の苗字は渡辺と申します。会、30、資繰りに苦しんでいたがのに無償で資材を提供し、救ってくださった渡辺製作所の初代社ご夫妻です」
その名を聞いた瞬、私のから湯みが滑り落ちそうになった。 ――渡辺さんだと……?
目のが真っになるような衝撃だった。あの、いつも笑顔で私を励まし、およしで優しかった渡辺さん夫婦。会社を畳んだ、田舎で静かに老を過ごしていると聞いていたのに、その切な老の資を、あの鈴という男が自分の成績と見栄のために騙し取っていたというのか。
「会……」佐藤の徹な声が、私の胸の奥底に眠っていた何かを烈に揺さぶり起こした。「これはもはや会個のりの問題ではありません。がグループの恩を獄に突き落とした男が、のうのうときていくことなど許されるべきではありません」
私はテーブルの写真を見つめた。 50の恩義に報いようとした所で、30の恩が最悪の形で踏みにじられていた。 私ので静かなれみは消えり、決して覚めることのない青いりの炎が静かに燃えがり始めていた。
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「佐藤、うちの顧問弁護士チームをすべてここに呼べ」
静のな空気を切り裂くように、私のからた声は自分でも驚くほどたく、そして静かに澄み切っていた。 「すでに配済みでございます。30分には元検事の肩を持つトップチームが全員この部に集結いたします」
佐藤は鏡の奥の目を鋭くらせ、く礼した。私に使えてきた彼は、私のりの沸点を誰よりも正確に理解している。
私はテーブルのに置かれた渡辺さん夫婦の写真をと震えるでそっと撫でた。 30、私のが倒産の危をしそうになり、文字通り首を吊る寸まで追い詰められた夜のことだ。の、軽トラに積みの資材を積んで駆けつけてくれたのが、この写真に映る渡辺さんだった。
「田さん、これ使ってくれ。はあんたが本の会社になったに、利子つけて返してくれたらそれでいいからよ」
だらけの顔でニカッと笑ってくれたあの笑顔。あの夜の資材があったからこそ、私たちは納期ににわせ、会社の危を切り抜けることができた。私にとっては、渡辺さんはを向けて寝ることすらできない、命の恩なのだ。
あの鈴という男は、相が融の識を持たない齢者だと見定めて「絶対に損をしない」と嘘をつき、退職と老資の2000万円を巻きげたのだな。
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「はい。報告によれば、当から認症の初期症状があった奥様のにつけ込み、引に契約に捺印をさせていたようです。結果として資は数ヶで溶け、渡辺様ご夫婦はんでいたまで放すことになりました」
佐藤の報告を聞く度に、胸の奥で煮えたるようなりが膨れがっていく。 「そして、つ葉は事実をりながら警察には届けず、顧客の自己責任による投資の失敗として隠蔽した……違いないか?」 「違いありません。当の支が自分の評価をげることを恐れ、内部でもみ消しました。その証拠となる支と鈴のやり取りの音声データや、改ざされた内部資料のコピーもすでに探偵事務所が確保しております」
「そうか……」 私はゆっくりとちがり、窓のを見ろした。が切れ、わずかに夕がを照らし始めていた。
私個を侮辱しただけなら、縁を切るだけで済ませるつもりだった。だが、のい齢者を騙し、の善をい物にしておきながら、エリート面をしてのうのうときているなど、絶対に許すわけにはいかない。
私は佐藤を振り返った。 「佐藤、この証拠資料をすべて警庁の捜査課へ、そして融庁へ提しろ。がグループの総力をげて、鈴という男、そして正を隠蔽したつ葉の腐った体質を、完全にのにさらすのだ」