"50億を消した傲慢行員の末路" 第9話
私はそれ以彼を責めることはしなかった。ただ静かに、テーブルの解約類に目を向け、朱肉に印鑑を押し当てた。 ――トン。 静かな部に、印を乾かす乾いた音が響く。すべての類の所定の位置に、50使ってきた赤い印が刻まれていく。
最の1枚に印を押し終えた、私のでく続いてきた1つの代が完全に終わりを告げたような気がした。 「これで続きはすべて完ですね」
私は印鑑を子が作ってくれたケースに丁寧に戻し、類を専務のに滑らせた。 「専務、私はあなた方に復讐をしたいわけではありません。関連企業が座を移しているのは、私から制したのではなく、彼ら自が『を見すとは付きえない』と判断した結果です。信用とは、そういうものです」
私はゆっくりとちがった。 「もうお引き取りください。これ以お話することはありません」
私が背を向け、窓ののの景を見つめると、背で膝擦りの音がした。 「にわたり……誠にありがとうございました。当は決して今の戒めを忘れません……!」
専務の絞りすような声と、くをげる気配。そしてい取りでドアに向かう2の音。 ドアが静かに閉まり、彼らがっていったも、私はしばらくのそのにち尽くしていた。りもしみもない。
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ただのにぽっかりといた穴を通り抜けるたいをじていた。
「会、お疲れ様でございました」
ふいに背のドアがき、第1秘の佐藤が静かな取りで入ってきた。彼のには、見慣れない茶い封筒が握られている。
「佐藤か。彼らは帰ったか」 「はい。エレベーターホールで田はっていられなくなり、専務の方を借りてお帰りになりました。完全にが折れていらっしゃいました」
佐藤は淡々と事実を告げた。私はさくため息をつき、ソファに戻った。 「そうか。これで全て終わりだ。あの鈴という若者もこれで懲戒解雇になる。世体ばかりを気にする両親からも見放され、彼なりにい字架を背負ってきていくことになるだろう。これ以彼らを追及する必はない」
私がそう言って緑茶をんだだった。 「会、そのことなのですが……」
佐藤の声は普段の彼よりも1段く、そして鋭く響いた。私が顔をげると、佐藤の鏡の奥の目がたくっていた。彼はに持っていた茶い封筒から数枚のの束を取りし、ローテーブルのに音をてて置いた。
「なんだそれは?」 「先ほど探偵事務所からがってきた、鈴健太に関する最終の調査報告です。会はもういいとおっしゃいましたが、どうしても引っかかる点があり、個に調査を継続させておりました」
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佐藤の言葉に私はわずかに眉を潜めた。 「実はあの鈴という男を起こしたのは、今回が初めてではありませんでした」 「どういうことだ?」 「3、彼はの頃に配属された別の支で、ある老夫婦に元本のリスクが極めてい投資信託を『絶対に儲かる』と嘘をついて売り付けていました。その老夫婦はの言葉を信じ、退職と老の貯のすべて、約2000万円を溶かしてしまったのです」
私は息をんだ。 「鈴は齢で融識のない老を図に狙い、自分の営業成績のノルマを達成するために、彼らの老資を騙し取ったも同然の為をしていました。側は事実を隠蔽し、ただの投資の失敗として処理しましたが、老夫婦は絶望し、現も築古のアパートでギリギリの活をいられています」
佐藤は報告の写真を指さした。そこに映っていたのは、腰の曲がった老夫婦が、さなスーパーで半額の惣菜をかごに入れている痛々しい姿だった。
「そしてここからがなのですが……」佐藤はさらに言葉をついだ。「その老夫婦の苗字は渡辺と申します。会、30、資繰りに苦しんでいたがのに無償で資材を提供し、救ってくださった渡辺製作所の初代社ご夫妻です」
その名を聞いた瞬、私のから湯みが滑り落ちそうになった。
――渡辺さんだと……?
目のが真っになるような衝撃だった。