"伝統を嘲笑われた日本人婿の逆転" 第8話
相変わらずそこにはムラがあった。部は黄く、部だけが赤く未熟に熟している。 しかし、あの「反射シートを敷いた区画」の脇を通り過ぎる、マルコは必ずを止めずにはいられなかった。 そこにあるりんごは、のどののものとも全く違っていた。全体が燃えるようなルビーに真っ赤に熟しつつあり、まるで宝の塊のように朝のので眩しく輝いていたのだ。
見るからに圧倒な最級品だった。 マルコは震えるを伸ばし、そのの1つにそっと触れてみた。皮はく、驚くほど滑らかだった。軸を軽くひねって収穫してみる。そして、祈るような気持ちでそのでかじりついた。 濃な果汁が、いっぱいにジュワッと広がった。 ――甘い。信じられないほどに甘い。 マルコは涯を通じてりんご農を営んできたが、これほどまでに芳醇で甘いりんごをにしたのはで初めてだった。ので品な蜜のがとろけるように広がる。彼は目をゆっくりと閉じ、その極のをかみしめた。 「これが……本当に、がの果園で育ったリンゴなのか……?」
「お義父さん、いかがですか?」 いつのにか背までづいてきた健太が、穏やかに微笑んでいた。 マルコは言葉を発することができなかった。しかし、無言でもう、でりんごをかじった。
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健太は嬉しそうに笑った。 「糖度を先ほど測ってみました。ミラノの級が求する数値よりも遥かにい数値がています。最級品レベルの基準を完全にクリアしていますよ」
マルコは元のりんごを見ろした。赤く見事で、極の甘さを持つこの果実こそが、自分たちが求めてやまなかった究極のりんごだった。ミラノの巨で最値がつく、確実な品質の証だった。 そして、それはでもない、あのからバカにされていた「本の若者」が作りした結果だった。
マルコは言葉を失った。のどこかで、それを認めたくなかった。たった数週のうちに、自分が300守ってきた伝統な方法論が、この若い異国の男のによって見事に凌駕されてしまったという事実を受け入れるのが怖かったからだ。 しかし、それはかしがたい現実だった。健太のやり方が正しく、自分の頑迷なやり方が違っていたのだ。
マルコは何も言わずに背を向け、極のりんごを握りしめたまま自宅の母へと向かった。 ろからジョバンナが「お父さん!」と呼び止める声が聞こえたが、マルコは振り返らなかった。自分の部に入り、ピシャリといドアを閉めた。 そのりんごを机のに置き、しばらくの、じっと見つめ続けた。 60にわたる自分の農業の経験とプライドが、音をてて崩れっていくのをじた。
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涯をかけて学び、につけてきた古い方法が瞬にして代遅れの遺物となり、若い本がたった1ヶで成し遂げた成果のに敗したのだ。 プライドはずたずたに傷つけられた。しかし、その胸の奥底には、言いれぬい堵が広がっていた。この果園を救うことができるという確かな希望のが、ついに見えたからである。
夜が更けた。マルコは窓のに広がる暗を見つめた。 かりので、例ののシートが青く、しかしく輝いていた。 「あのシートが、がを救ってくれたんだ……」 マルコは独り言のように呟いた。そして、すぐに首を横に振った。 「いや……あのシートを信じ抜いた、あの本の息子が、がを救ってくれたんだ」
10の第1週、本格な収穫のシーズンが盛に幕をけた。 マルコは夜けとともに目を覚まし、誰よりもく果園へとびした。収穫の期は、農にとって1で最も胸が踊る、努力の結晶を確認する瞬である。しかし、今のマルコのは複雑だった。反射シートを敷いた区画と、そうでない般の区画とのの品質の差が、あまりにもすぎたからだ。
マルコはまず般の区画を見て回った。りんごを1つずつ丁寧に収穫しながら確認していく。には相変わらずムラがあり、収穫量も平並みかそれ以だった。
そして、彼はあの「反射シートの区画」