"井戸の謎と、睡眠薬入りの水" 第15話
それから数、執拗(しつよう)な息子夫婦からの病を受けた。も界もも指先もぼんやりしてうまくかせないのに、だけはしっかり能している。だからけ太郎は勇気とかカナの会話を聞いていた。
齢者施設についてしきりに話してた。パンフレットをのように持ちしてな。「ボケたことにできる。この状態はどこから見ても認症だ。だけどすぐには入れられない」
に議論をする彼らの話を聞きながら、薬により認症を装わせることが勇気とかナさんの当初からの計画だったとけ太郎は理解する。いつ実に移そうかとを見計らっていたところに、偶然私の湯治という絶好のチャンスが訪れた。気にだと怪しまれるし難しいが、片方ずつなら成功する。そう踏んだ彼らが、私がをたにすぐ薬を混ぜたのだ。
俺が認症になった。もう施設にも入れたと帰ってきたジコに伝えればひどく揺するだろう。そのったところを狙って同じ目にわせる計画だったんだろうな。
認症のを受け入れる施設は入所のハードルがい。だけど私が帰ってくるまでに実したい、だから期入所のここだったわけね。
ああ、にわけのわからんものをませておいて、肝なところは爪が甘いんだ。
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ただのバカだよ。
私はく頷きながら、ふとに湧いた疑問をにした。
「ちょっと待ってよ。でも何がしたいの? 私たちを施設に入れて、それでどんな得があるのよ」
するとけ太郎が声を落とする。
「井戸だ」 「え? 井戸って……」 「うちの庭の隅にある古い井戸だ」
脳裏によぎるのは、勇気がまだ幼かった頃のあの事件だ。あれ以来、彼もたちの言いつけを守り、切づかなくなった。当抱いていた「さい子がいるのだからく何とかするべきだ」という考え。それも勇気の成と共に々の雑務に押し流されていき、優先順位はがっていった。だからあの井戸は今も庭の片隅にある。
この井戸は私がと繋がる所ってな。カナさんそう言ってたんだ。
はあ? 何を言われたのか全く理解できなかった。しかしすぐに私はカナので見たものをいす。ルームミラーにぶらがるお守り。ダッシュボードに然と並ぶ。目に見えないものとかスピリチュアル。そういう方向の話なの?
恐る恐る聞くと、け太郎は真顔のまま頷いた。
「察しがいいな。つまりはそういうことだ。あのは井戸で何かしてる。こそこそするのも限界が来て、だから俺たちが邪魔だったんだよ」 「待って、忘れてた! は途まで私を追いかけてきてたの。もうすぐここに来るかもしれないわ」
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「え、追いかけて……おいおい、勇気たちに所を聞いてタクシーで来たんじゃないのか」
目を丸くするけ太郎に私は首を振る。
「まさかそんな気藹々(わきあいあい)なわけないでしょ! 父さんを施設に入れた母さんもどうにかしなきゃ、だからく夕飯をべろって迫られたのよ」 「だから自分で運転して……運転って?」 「け太郎、さっき言ってたじゃない。湯治に帰ってすぐの私にあなたの施設きを伝えて揺させてらせるつもりだったって。どうして親切にタクシーに乗せてくれるのよ」
私の言葉に、彼は「なるほど」と抜けた声をしてよこした。
「私が来ることに備えて宿泊の申請までしていたが、何言ってるの?」 「ああ……だめだ、辻褄がわない。本当にボケちゃったんじゃない? 井戸の話も信憑性がなくなってきたわね」 「いや、勘弁してくれよ。でもとにかく、は来ない。それは保証する。勇気とカナがくのは夜だ。だからかられられないんだよ」 「じゃあ、私が帰るわ」
のが瞬にして戦闘モードに切り替わる。私はちがり、荷物を持った。
「おい、帰るって……ジコ、危ないだろ。運転もあのも、今はじっとしてろ!」 「いやよ!」 「なあ……」
そんなふうに怯えるけ太郎をきっと睨みつける。あのは私たちの。誰が固定資産税を払っているとっているの?
「お、俺だよ」
「そう、あなたよ。それに何が井戸よ、あんなもん。能がついてるとでも……」
自分でも何を言っているのか分からなかったが、体のには闘志が燃えていた。