"井戸の謎と、睡眠薬入りの水" 第7話
サークルもアルバイトもどれもくは続かなかった。
「が理尽なんだよ。それに先輩が使えなくてさ。僕がフォローしなきゃ回らないのに、あっちの方が料いんだぜ。やってられるかって話だろ」
聞いているとどこか既がある。「自分は正しい、周囲が悪い、だからうまくいかないのだ」と。社会になってからはそれがよりはっきりした形で表にるようになる。就職先は学代のアルバイトと同じく、いくつかを点々とした。理由を尋ねると、決まって似たような答えが返ってくる。
「ブラックだった。司がパワハラ気質だった。僕の能力をかせる環境じゃなかった」
満げに眉にシワを寄せてそう言うのだ。最初のうちは私もけ太郎も真剣にを傾けていた。「今は本当に変な代だ、わない職もあるだろう」そうおうとした。
だが会社が変わっても話の構図は変わらない。どこへっても勇気のから語られる自分自の姿は被害者だ。れで理解されないだった。
ある晩、け太郎がしい調になったことがある。
「なあ、勇気、全部が全部周りのせいってことはないんじゃないか」
その言葉に勇気は笑った。
「父さんはいいよな。公務員で何も考えなくても泰で」
めた目でそう言い放つ。
「ちょっと、そんな言い方……」
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「親世代と俺たちの世代は違うんだよ。父さんみたいに代に守られてない」
わず胸が痛む。け太郎は確かに公務員だ。だが決して楽などしてきていない。に働き、彼は彼にできる精杯の力で族を守ってきてくれたのだから。
「それは分かってるさ。でもな、俺だって若い頃は必だったんだぞ」 「はいはい、苦労話ね。父さん気をつけた方がいいぞ。そういうの老害って言うんだ。寄りの昔話ほどうざいものはないからさ」
勇気の乾いた言葉で会話は終わった。何も言えない自分たちがけない。
こうした来事から私とけ太郎が彼との対話を諦めかけていた頃、勇気が突然結婚の話を持ってきた。つ目の職を辞め、つ目の会社で働き始めてまだもない期である。
「こちら、戸隠カナさん。僕のつで、の職で事務をしてたなんだ」
正直、びよりも驚きの方が先にった。というのも、挨拶にやってきたカナがるくよく気がつくタイプだったからだ。話し方も柔らかく、私やけ太郎の話にきちんとを傾けてくれる。
「勇気さん、すごく真面目な方だとうんです。だからし慎だったり、器用に見えてしまったり……仕事もよくできるし、だから辞めちゃってみんな残がってます」
その言葉に私はわず頷いてしまった。
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この子は勇気を分かってくれるなのだと。同に、むしろ親である私とけ太郎が彼を理解できていなかったのかもしれないともった。被害者識がく、つまずく度に誰かのせいにする。この子はそういう性格なのだと半ば諦めを抱いていた。だからこそカナのは救いに見えたのだ。
「本当にありがとうね。変なこともあるだろうけど……」
私がをげると、彼女はにっこりと笑った。
「丈夫です。何があっても私が支えますから」 「勇気、いいと会えたな」
け太郎のしみじみとした言葉に勇気は照れ笑いする。彼のこんな表はとても久しぶりだった。
「そうだ、カナさん。うちの母にも会っていってくれ。勇気から聞いているかもしれないが世帯宅なんだ。を央玄関をにまっぷつに割ったイメージだな。分かるか?」 「ええ、わかりますよ。非ご挨拶させてください」
け太郎の雑把な説にもカナはよく答える。良かったと私もからした。もしかするとが子を気にかけるあまり、らずらずのうちにお節介な親になっていたのかもしれない。結婚してこのをて、適度な距ができれば親子の関係性も変わるだろう。そう向きな気持ちになっていた。
しかし、カナが結婚の挨拶に来てからほんの数のこと。
義母が突然倒れ、そのまま帰らぬとなった。
あまりに急な来事である。に作りすぎた煮物を元気に届けてくれた姿をい返すと、まるで現実がなかった。