"「貧乏男」の通帳に5億円" 第7話
貯8万円の「丈夫」
次の曜、で40分ほどのひばり園を訪ねた。蓮さんが育ち、今は退所のまいの相談を受けている所だった。襟の名は気になっていたが、まずは今会う女の子の話を聞きたかった。
玄関で迎えてくれた佐々佳代さんは、蓮さんの肩についた糸くずを取ってから、私に挨拶をした。63歳だという職員の声には、仕事相だけではない親しさがあった。
面談には、チェック柄のひざ掛けを掛けた女の子が座っていた。美優さん。18歳で、品会社への就職が決まっている。
「真帆さんにも、緒にまいの話を聞いてもらっていい?」
佐々さんが尋ねると、美優さんは私を見て、頷いた。私は向かいに座り、経理の仕事をしていると自己紹介した。
「寮に入れれば、通うのも楽なんですけど。まだ部が空くか分からなくて」
美優さんがクリアファイルからした案内には、入社までに連絡するとかれていた。就職そのものは決まっているが、む所だけが残っている。
「おはあります。バイトで8万円、貯めたので」
そう言って笑った、彼女の指がひざ掛けの端をきつく握った。私は元のメモに8万円とき、まず、それだけ貯めるのは変だったねと伝えた。
「寮に入れなかったの部代や、最初のお料までの費は、分けて考えてある?」
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「それは……働けば、何とか」
佐々さんが、入居を急がずに使えるなまいもあると説した。今いる所をれる期についても、就職先と連絡を取りながら相談できる。寮が駄目ならにでもていかなければならない、という話ではなかった。
それでも美優さんは、ひざ掛けを畳み始めた。
「ほかにも待ってる子がいるし。私、もう18歳ですから。丈夫です」
隣で、蓮さんのが止まった。こうとしていた物件の資料を持ったまま、彼女の顔を見ている。私はテーブルのでそっと夫の肘に触れた。
「予備の部も見てから、決めてもいい?」
美優さんへ聞くと、畳みかけていたが緩んだ。蓮さんは息を吐き、資料を彼女の方へ向けた。
「コーポ川というアパートです。さんと相談して、就職の始まりに使える部を用しています。見たから必ず借りる、ということにはなりません」
写真には、さな台所と当たりのいい窓が写っていた。賃のほかに最初に必なものを、私は余へいた。すでに備えつけられるもあり、全部を8万円から買う必はなかった。
「お布団は、自分で選べますか」
美優さんが初めて写真へ顔を寄せた。蓮さんがもちろんと答えると、彼女は照れたように笑った。私は費用の話を止め、窓のきさを緒に確かめた。
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帰るに、美優さんは見学をしてみたいと言った。佐々さんの直通の連絡先と、会社の番号を同じにいて渡す。寮の返事が来たら、どちらの結果でも連絡をもらうことにした。
ファイルをしまう、別の求のチラシが滑りた。きく『み込み相談』とある。
「駅でもらっただけです。今の会社、辞めるって決めたわけじゃないです」
「うん。もし話を聞きたくなったら、条件を緒に確かめよう」
佐々さんが答えると、美優さんはチラシを拾った。佐々さんは元に残していた同じチラシで、問いわせ先を確かめた。
に戻っても、蓮さんはすぐにはエンジンをかけなかった。私は急かさず、助席でシートベルトを締めた。
「丈夫って言われると、何も聞けなくなることがある」
夫はフロントガラスの向こうを見て言った。
「あの子が本当に困っていないのか、笑ってるだけなのか。見分けられなかったらとうと」
「だから、連絡するを緒に決めたんでしょう。今だけで、全部分からなくてもいいよ」
彼は両でハンドルを握り直した。
その夜、頼まれた袖のほつれを繕いながら、私はい名札にもう度目を留めた。蓮さんがお茶を置いた、針を布に刺して顔をげた。
「沢さんって、どんな?」
彼は襟を見て、しばらく黙った。それから押し入れの箱をけ、折り目のくなったを1枚持ってきた。
古い入居申込だった。申込者の欄に、沢健太とかれていた。