"「貧乏男」の通帳に5億円" 第4話
貧乏男に、500万円
曜、実の居に入ると、姉はもう座っていた。母がした皿には、個包装の焼き菓子が並んでいる。結婚の挨拶に来たは、私たちのお茶だけがくめていた。
「相沢さん、このはごめんなさいね。会社を経営なさってるなんて、真帆も言ってくれないから」
姉は夫のへ菓子の皿を寄せた。責められているのか謝られているのか分からず、私は膝に置いたバッグの持ちを握った。
「私がらなかったとしても、あの言い方はしてよかったの?」
「だから、謝ってるでしょ。妹が配だったのよ」
母がに入るようにお茶を注いだ。父はその、用事でかけていた。姉は聞の切り抜きをテーブルに広げ、空いているでいファイルをした。
「うちのサロン、2号を考えてるの。今のおを始めて2になるし、お客さんもついてきたから」
内の完成予図には、い施術台ときな鏡が描かれていた。端にかれた内装費の見込みを見て、私は姉の話をいした。
「ここに500万円、資してもらえないかしら」
姉は私ではなく、蓮さんを見ていた。
「物件のことも詳しいでしょう。私がを回すから、相沢さんはおの方だけ。内ならだし」
「今のの収支と、しいの計画はある?」
私が聞くと、姉はファイルの角を指で揃えた。
「細かいことはでいいでしょ。
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今は、まずお願いに来たんだから」
「にはできないよ」
母がさくため息をついた。
「真帆、最初からそんな言い方をしなくても。理だってで頑張ってるんだから」
子どもの頃から聞いてきた言い方だった。姉が選び、私が譲る。それで母の嫌が戻るならと、何度も引きがった。今は、隣に座るの袖が目に入った。
私はバッグからをした。
「結婚するって話した、お姉ちゃんは、貧乏男を私が養うのかって聞いたよね」
「いつまでその話をするの」
「聞がるには、度も謝ってくれなかったから」
姉はきかけたを閉じ、今度は母を見た。母は湯呑みを持ったまま、こちらを見ている。
「おの相談に来るに、あののことをちゃんと話してほしかった」
言い切ると、膝の震えがし収まった。私はお茶をひとんだ。まだかった。
「今回の資は、引き受けられません」
蓮さんがをいた。姉のが、完成予図ので止まった。
「真帆はそう言ってるけど、相沢さんご自はどうなの?」
「俺自の返事です。会社としても、個としても資するつもりはありません」
夫は資料を閉じ、姉の方へ戻した。声は穏やかだったが、持ち帰って考えるとは言わなかった。
「しくらい、族のために考えてくれてもいいじゃない」
「族だから、曖昧な返事はしたくありません」
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姉はしばらく資料を受け取らなかった。やがて端をつかんでバッグへ入れ、私は忙しいからと先に席をった。
帰宅してから、蓮さんと相談して、3のメッセージのグループにも返事を残した。曜の1912分だった。
『本ご相談いただいた500万円の資は、お引き受けしません。会社としても個としても、資の予定はありません。相沢蓮』
しして、姉から『分かった』と返ってきた。画面を閉じた夫が、私にお茶を淹れてくれた。
「話してくれてありがとう」
私が言うと、彼は今度は隣で黙っていたくなかったと答えた。お茶をみ終えるまで、仕事の話にもを伸ばさなかった。
ところが曜の昼、森さんから連絡が入った。
「お姉さんの舗に、うちが資することになっているんですか。確認したいという方から、お話が来ていて」