"20年の仕送りを止めたら、義母の嘘が暴けた" 第3話
正は瞬言葉に詰まり、赤信号でが止まると、困惑したように千鶴の横顔を盗み見た。
「で、でもさ……お袋もほら、親戚のだから見栄を張って、ついが滑っただけだとうんだよ。本気で言ったわけじゃないだろうし……」
「本気じゃなかったら、あんな言葉がるとう?」
千鶴はを向いたまま、静かに、だが鋼のようにい声で言った。
「『たった万よこして偉そうに』。あれが、あのの本よ。、私たちがどんないでおを面してきたか、あのは何つ像したことすらないのよ」
正はそれ以、何も言い返せなかった。
自宅のマンションに戻った千鶴は、リビングの灯りを点けると、寝のクローゼットの奥から冊の古いの通帳ケースを取りしてきた。
ダイニングテーブルのに、歴代の記帳済み通帳を順に並べていく。
平成の初めから、令の現に至るまで。分の通帳の束は、積みげるとセンチを超えるみになっていた。
パラパラとページをめくる。
毎――料の直、千鶴が信用庫の窓やATMへを運び、キミ子の個座へ振り込んできた「100,000」の印字が、途切れることのない黒い鎖のように連なっていた。
千鶴が正と結婚したのは、今からのことだった。
その、正の父親が脳梗塞で急逝した。
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男である正が喪主を務め、の法が無事にけたある夜、正が神妙な面持ちで千鶴にをげたのだ。
『千鶴、すまないが……お袋への仕送りを考えてくれないか。親父がくなって遺族だけじゃ、あのだだっ広いを維持するのは厳しいとうんだ。万円……うちの計からせないだろうか』
当のは、男がまれたばかりで、決して経済に余裕があるわけではなかった。正の料だけでは毎ギリギリで、千鶴は産半で所の配送センターの事務パートへ復帰したばかりだった。
それでも千鶴は、「男の嫁として認めてもらいたい」「夫の実を支えるのが族としての務めだ」と自分に言い聞かせ、その申しを諾した。
最初の数、キミ子は振込の翌になると必ず話をかけてきた。
『千鶴さん、今もありがとうね。本当に助かるわ。正と千鶴さんには謝してもしきれないわよ』
受話器から聞こえるその弾んだ声に、千鶴は救われるいがした。自分のパート代の半がそのまま義母の座へ消えていく活であっても、「お役にてているのなら」と誇らしくえた。
だが、が過ぎ、が過ぎる頃から、その関係性は音をてて歪み始めた。
謝の話はいつのにか途絶えた。
それどころか、振込がを挟んででも遅れようものなら、朝のから催促の話が鳴り響くようになった。
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『千鶴さん! 今、まだ入ってないわよ! どうなってるの!? 今は所の婦会のお茶会があるんだから、く振り込んでもらわないと困るじゃないの!』
お礼の言葉は消えり、あるのは当然の権利を使するかのような命令調だけだった。
それだけではない。
千鶴夫婦に第子がまれた際、キミ子はぶらで病院へやってきて、「おめでとう、これ気持ちね」と先だけで言い、お祝いを円も包まなかった。孫のや入学祝い、成式の際も、キミ子は仕ての良い級な着物を着て席し、親族ので満面の笑みで写真に収まるだけで、孫たちへの祝いは切さなかった。
それどころか、「孫のためにしい着物を調したのよ」と言い放ち、その仕て代万円を千鶴たちに請求してきたことすらあった。
さらに、実が漏りした際も、「正たちのもいずれここを継ぐんだから」と言われ、壁と根のリフォーム費用百万円のうち、半分にあたる百万円を千鶴夫婦が負担させられた。
々万円の仕送りに加え、事あるごとに発する臨の費。
千鶴は卓を叩いた。
万円×か×。
弾きされた数字は――
千百万円
。
リフォーム代や着物代、孫の事でのて替え分をわせれば、実質な支は千百万円を優に超えていた。