"母の保険金3,000万円、夫は「もう諦めろ」と言った" 第10話
麻紀がいドアを押しけると、の効きすぎたオフィスのは、修羅と化していた。
部の隅には、勤してきたばかりの若い女性社員と男性スタッフの計名が、怯えたようにを寄せっている。
そして央の応接スペースでは、髪を振り乱し、級ブランドのジャケットの胸元をはだけさせた佳代が、テーブルを両でバンバンと叩きながら、のスーツ姿の男性にってかかっていた。
のうちは、腕章を巻き、胸に裁判所の徽章を付けた「執官」。
そしてもうは、黒革の鞄を抱え、類をにした弁護士だった。
「浦社、落ち着きなさい」
弁護士が、氷のように静な声で通告する。
「私たちは、横浜方裁判所の命令に基づき、公正証に記載された債権の回収のための【産執】ならびに【債権差押え】を法に執している最です。声をげて公務を妨害されるなら、直ちに警察官の臨を請します」
「差押えですってぇ!? ふざけないでよ! 来にはきな入があるって言ってるじゃない! 今座を止められたら、今週末のイベントの設営費も、この子たちの料も払えなくなるのよ! 会社を潰す気!?」
「期をか以も過ぎ、再にわたる内容証郵便を無し続けたのは貴社の方です。債権者である浦麻紀氏には、制執を申してる完全な法正当性があります」
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「麻紀ちゃん……!? あの子がこんなことするわけないでしょ! ただの世らずの主婦よ!? あんたたち悪徳弁護士が唆したんでしょうが!!」
「いいえ。私が、私の志で申してました」
静寂を切り裂いて響いた麻紀の声に、オフィス内の全員の線が斉に入へと向けられた。
佳代の目が限界まで見かれ、元が引きつった。
「ま……麻紀ちゃん……!? な、なんであんたがここに……!?」
麻紀は歩、また歩と、ヒールの音を静かに響かせながらオフィスの奥へと歩み寄った。
「おはようございます、お義姉さん。お久しぶりですね。か、お話にもていただけませんでしたから、直接お伺いしました」
「あ、あんた……正気なの!? 族の会社に裁判所のを送り込むなんて……血も涙もない悪魔ね! 幸介はってるの!? 幸介がこんなこと許すはずないわ!」
佳代が叫んだその、オフィスのエントランスのドアが再び勢いよくねがった。
「姉貴ーーッ!!」
息を切らし、ネクタイを乱暴に緩めた幸介がび込んできた。会社のデスクに置き忘れた類を取りに戻った際に、佳代からの鬼気迫る着信履歴に気づき、タクシーをばして駆けつけてきたのだ。
幸介はオフィス内に並ぶ執官と、そのにつ麻紀の姿を捉えた瞬、顔面を真っに染めげた。
「ま、麻紀……!? お、本当に……本当に差押えなんてやりやがったのか!?」
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幸介は麻紀の腕を掴もうと突してきたが、体格の良い執官がすっと割って入り、その胸元を力く押し止めた。
「部者はがっていなさい! 現、裁判所の執官が執命令を執です。しをすれば公務執妨害で現犯逮捕します!」
「く……せ! 俺はこいつの夫だぞ! この会社の連帯保証だぞ!」
「連帯保証であれば、なおのこと弁済の義務を負う当事者です。発言には責任を持ちなさい」
弁護士が鋭く瞥すると、幸介は気圧されたようにずさりした。
オフィスに苦しい沈黙が落ちる、執官のが事務な声で読みげた。
「庫内の現、計42万円を差し押さえました。また、本午付で、浦クリエイティブ・プロモーション名義のメインバンク座、ならびに主取引先である広告代理社に対する売掛債権、計2,800万円に対する差押命令正本が送達されました。これにより、本以、取引先から貴社への入はすべて法に凍結され、裁判所を通じて債権者・浦麻紀氏へ直接配当されます」
「う……嘘でしょ……!?」
佳代はそのにへたり込み、両でを抱え込んだ。
「売掛を差し押さえられたら……取引先にうちが借を踏み倒したことが全部バレちゃうじゃない……! もう業界で仕事なんてできないわよ……!」
社員たちがざわめき、え切った線を社である佳代に向けた。