"母の保険金3,000万円、夫は「もう諦めろ」と言った" 第7話
そして、公正証が債務者へ法に送達されたことを証する「送達証」の取得。
さらには、弁護士の調査ネットワークを駆使し、佳代のイベント会社の法登記簿、メインバンクである信用庫の座番号、そして同社が今期取引している広告代理や自治体からの「売掛債権」の特定まで、面ですべて完させていたのだ。
裁判所へ提する制執申は、すでにすべての添付類を揃え、麻紀の「実」の図つで即座に受理される状態にあった。
「浦さん、準備はすべていました」
週、弁護士は事務所のデスクで、分いファイルをにして麻紀に確認を求めていた。
「あなたが申してをえば、直ちに裁判所から執官が派遣され、佳代氏の会社の座、庫内の現、そして主な取引先からの売掛がすべて差し押さえられます。会社の資パイプは完全に凍結され、従業員の与の支払いも能になるでしょう。……本当に、内相にここまで踏み切ってよろしいですね?」
弁護士の問いに、麻紀は迷うことなく答えた。
「か待ちます。約束のかに加え、さらにか、猶予を与えます。もし彼女がそのに、しでも自ら連絡をよこし、分割返済の相談や誠ある謝罪を見せるのであれば、私も考えます。
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……ですが、かが過ぎても逃げ続け、踏み倒す気でいるのなら、け容赦なく実してください」
そして、今。
その猶予期である「か」の最の夜が、静かに訪れようとしていた。
麻紀はキッチンで夕の片付けを終えると、リビングのソファでビールをみながらバラエティ番組を見て笑っている幸介のに、静かに歩み寄った。
夫に、最の会を与えるために。
リビングには、お笑い芸のわざとらしい笑い声と観客の歓声がテレビから絶えなく垂れ流されていた。
幸介はソファにく腰掛け、片に持った缶ビールをあおりながら、スマートフォンを親指で刻みに操作していた。その元には、週末の夜を楽しむ男の緩みきった笑みが張り付いている。
麻紀はダイニングテーブルを拭き終えた布巾を丁寧に畳んでシンク脇に置くと、音をてずにリビングの央へと歩みた。
テレビ画面と幸介の線のに、すっとを落とす。
「……なんだよ、麻紀。邪魔なんだけど。今いいところなんだから、向こうってろよ」
幸介は画面から目をさず、鬱陶しそうにを払った。その作には、妻をの対等なとしてではなく、界を遮る障害物としてしか見ていない傲さが滲みていた。
麻紀はかなかった。背筋を真っ直ぐに伸ばし、ややかな線を夫のから落とした。
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「幸介。お義姉さんのことなんだけど」
その名が落ちた瞬、幸介の指のきがぴたりと静止した。
わずかな沈黙の、幸介はわざとらしくい、々しいため息を吐きした。元のスマートフォンをガラステーブルのに放りすと、ガタンと鋭い衝突音が響いた。
「……はぁ。お、まだその話してんの? いい加減にしつこいんだよ」
「まだ、って何かしら」
麻紀の声は極限までく、平坦だった。
「約束の返済期限から、今できっかりかが過ぎたわ。最初の週を過ぎてからは、こちらから送ったメッセージも既読無。先週からは話も着信拒否にされて、呼びし音すら鳴らない。お義姉さんは完全に連絡を絶っているのよ。あなた、連帯保証でしょう。どうするつもりなのか、あなたからも直接聞いてほしいの」
幸介はを抱え、げさにを仰いだ。そして、テレビの音量をリモコンで段階げながら、麻紀を先で笑いばした。
「姉貴だって暇じゃないんだよ。会社を回すのに々とて込んでるんだろ。し待てば連絡が来るはずだ。男の仕事の世界もおみたいな専業主婦には分からないだろうけどさ、の取引先との兼ねいってものがあるんだよ」
「て込んでいるなら、どうして言『待ってくれ』と連絡をよこさないの? なぜ着信拒否にする必があるの? 千万円というを借りておいて、連絡すら遮断するなんて、として以に犯罪にい為よ」