"「2度と戻るな」姑と500万円の偽造委任状" 第24話
「これは、おに突きつけるためのものじゃない」
私は静かに、弘の次の言葉を待った。
弘は真剣な差しで言った。
「俺が自分のの責任を取るための、覚悟の証だ」
弘はバッグから、もう1つのい封筒を取りした。
それは先ほどの茶の封筒よりも回りきく、しみのある封筒だった。
私が尋ねた。
「これは何?」
弘はゆっくりと封をけ、から1枚の古い類を取りした。
「親父の部の収納だ」
その類のタイトルを見た瞬、私の息が止まった。
そこには「遺言公正証」という文字がはっきりと印刷されていた。
くなった義父が、に公証役で作成した正式な遺言だった。
私は驚き、弘の顔を見つめた。
「お義父さんは、遺言なんて残していないと言われていたわ」
弘の顔には、いりと絶望が入り混じっていた。
「ああ、母さんが隠していたんだ。親父がくなった直、母さんはこの遺言のを隠し、全てが母さんの名義であるかのように周囲に嘘をついていたんだ」
私はその公正証にかれた内容を読ませてもらった。
そこには、私たちがんでいるあのの、本当の権利関係が記されていた。
と建物の名義は表向きは義父だった。
しかし遺言には、確な条件がき記されていたのだ。
『この及び全ての資産は、男である弘と妻である弓が同居を継続し、庭を守る限りにおいてその所権を相続する。
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もし妻である節子が当な理由で嫁をから追いし庭を崩壊させた、の所権の7割は男の弘の単独名義とし、節子には切の処分権を与えない』
その条文を見た瞬、私の元がわずかに震えた。
お義父さんはそこまで見越していたのだ。
義母が自分のわがままで私を追いすが来ることを、くなるから完全に予測し、法な防策をしっかりと残してくれていたのだった。
弘は自嘲気に笑った。
「母さんはこの公正証のをらなかったらしい。だからこそ自分のい通りにをリフォームし、俺の定期預まで奪って妹と暮らそうとした」
弘は遺言を見つめた。
「でもこの遺言がある限り、母さんが勝にをかすことはできないんだ」
私は目のにある類を見つめた。
それは8私を縛り続けてきた井の呪縛を、瞬で消しるほどの力な法効力を持っていた。
義母が「このは私のものだ。おたちを追いす権利がある」と叫んでいたのは、全て法根拠のない勝な妄に過ぎなかったのだ。
弘は真っ直ぐな目で私を見つめた。
「俺はこの公正証、すでに弁護士に見せた」
弘は静かに告げた。
「そして、母さんに正式な通を送る準備をえている」
私が尋ねた。
「通って、何の?」
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弘は答えた。
「このから、母さんにてってもらう」
その言葉に、私はわず息を呑んだ。
追いされるのは私たちではなく、義母の方だったのだ。
弘は続けた。
「母さんは1できていくだけの経済力がない。だから俺が最限の活費を別の所から面する。でもあのにはもう戻れない」
弘は元にある婚届の用に目を落とした。
「俺はおをあのに戻すために、この類を持ってきたわけじゃない」
弘の声は震えていなかった。
「俺の母親が、おにどれほどの苦痛を与えたか。それを考えたら、俺たちが元の夫婦の形に戻る資格なんてない」
それは自分の犯した過ちのさを分に自覚した男の、静かな決断の音だった。
弘が何かを言いかけたそのだ。
「でも、弓。もし許してもらえるなら」
私のポケットので、スマートフォンが激しく振した。
画面を見ると、表示されていたのは井の固定話の番号だった。
こんなにあのから、何だというのだろうか。
私はし迷いながらも、通話ボタンを押した。
「もしもし」
話の向こうから聞こえてきたのは、先ほどまでの威勢が嘘のような、ひどく掠れた義母の声だった。
義母の声は恐怖に震え、完全に崩れっていた。
「弓!弘と緒なんでしょう!」
義母のパニック状態の叫び声が、静かな喫茶の空気を切り裂いた。