"「2度と戻るな」姑と500万円の偽造委任状" 第8話
それはお願いというよりも、当然の義務をするような響きだった。
弘はパニックになりながらも、面倒なことを全て私に丸投げしようとしているのだ。
私はののスマートフォンを、静かに握り直した。
昨の夕方、私のや靴を全て玄関のに放りした義母。
2度と戻るなと言い放ったそので、今度は私に病しろというのだろうか。
私は弘に告げた。
「私もあと1で仕事にるの。に戻って病することはできないわ」
私がそう答えると、話の向こうで弘が息を呑む気配がした。
数秒の苦しい沈黙。
そして弘は、くたい声で言った。
「おって、そんなにな女だったんだな」
そのい言が、私の胸の奥にく鋭く刺さった。
ひどい罵倒ではない。
ただの言だ。
けれどその言には、私の8の努力を全て無にする破壊力があった。
義父の葬儀のは、ろくに眠らずに親戚の対応をした。
弘がインフルエンザで寝込んだは、染を恐れる義母に代わって、私が晩病をした。
義母が邪を引けば、消化の良い事を別に作り、ベッドの横に運んだ。
私のは、私のは、ずっとこの族のために使われてきたのだ。
それをの言で切り捨てる。
このは、私がどれほどを削ってきたのか、本当に何も見ていなかったのだ。
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私ので、しみというが完全にに絶えた。
残ったのは氷のようにたくて透き通った、絶対な絶望だけだった。
私は声を荒げることなく、静かに答えた。
「で結構です。本当に配なら、あなたが救急を呼んで、仕事を休んで病しなさい。あなたのお母さんでしょう」
弘が何かを言いかけた。
「弓、俺は……」
私は弘の言葉を遮った。
「もうあなたの都の良い政婦じゃないの」
私は弘の返事を待たずに、話を切った。
胸の奥がし痛んだ。
けれど同に、い鎖を1つ引きちぎったような確かな解放があった。
誰かに媚びて、無理をしてまで良い嫁でいる必は、もうどこにもないのだ。
午9。
科クリニックでの仕事が始まった。
消毒液の匂いが漂う、患者さんの目薬を処方しながら、私はふと考えていた。
義母の突然の卒倒についてだ。
私は同居していた8、義母の健康状態を誰よりも把握していた。
血圧は正常、持病もない。
それが突然、腰が抜けててなくなる。
点と線が、私ので静かに繋がっていった。
昨の昼、弘は私が教えた青いファイルを見たはずだ。
そこには、私が1円の狂いもなく計を管理してきた証拠が残っている。
嫁が活費を使い込んでいるという義母の浅はかな嘘は、弘にバレたはずだ。
さらに、もし私がからの話の件まで弘に話せば、義母は完全にを失う。
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だから逃げたのだ。
突然倒れたれな母親という、誰も責めることのできない絶対な全圏へ。
義母が倒れれば、弘はもうおのことで母親を問い詰めることはできない。
そして病に来ない私を、な嫁として悪者にすることができる。
それは義母が自分のを守るために打った、狡猾な芝居だった。
私が追い詰められているのではない。
義母の方が自分のついた嘘と欲に絡め取られて、追い詰められているのだ。
その事実に気づいた、私は静かな満を得ていた。
午3。
昼休みにスマートフォンを見ると、弘からいメッセージが入っていた。
『母さんを桜総病院に入院させた。のための検査入院だ。俺はこれから仕事にく。おも仕事が終わったら顔くらい見に来てやってくれ』
桜総病院は、私たちのむ町にある規模の総病院だ。
弘はまだ、私がを入れ替えて謝りに来ると信じているようだった。
私はそのメッセージを見て、しだけ考えるを持った。
くべきか、放っておくべきか。
答えはすぐにた。
午6半。
クリニックの仕事を終えた私は、実には帰らず、まっすぐ桜総病院へ向かった。
もちろん、義母の世話をするためではない。
謝罪するためでもない。
事実を、私の目で確かめるためだ。
夜の病院は静かで、面会も終わりにづいていた。