"「クソ臭い農家」と再開発地8割の地主" 第4話
「健さん、そんな言い方はないわ」
私は涙をこらえて訴える。
「父にとっては、これが1番の宝物なのよ」
私は彼らを順番に見つめた。
「こののために、父がどれほど準備をしてきたか分かっているの」
私が必で庇うと、今度は義父の正尾さんがで笑った。
「宝物? くだらんな」
彼は見すように言い放つ。
「所詮はから取れたものだろう」
正尾さんは腕を組む。
「々が扱っているのは、鉄とコンクリート、そして数億という産だ」
彼は父をれむように見た。
「をいじって銭を稼ぐ活とは、格が違うんだよ」
正尾さんは目のに並んだ最級の刺を箸でつっつくと、わざとらしく顔をしかめた。
「ああ、まずい」
彼は箸を置く。
「この部の空気が悪いせいで、が台無しだ」
正尾さんは鋭い線を父に向けた。
「おい、佐藤さん。君、自分がどれだけ違いなところにいるか分かっているのかね」
父の郎は、まだ言も反論しない。
ただ静かに目を閉じて、彼らの罵詈雑言を受け流しているように見えた。
父のその忍耐さが、逆に彼らの傲さをエスカレートさせてしまったのかもしれない。
正尾さんは笑した。
「無言か。反論する言葉も持たないほど、教養がないということか」
彼は呆れたようにため息をつく。
「まあいいだろう。はっきり言ってやる」
正尾さんは酷に告げる。
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「君のような男は、が族にはだ」
静子さんが勝ち誇ったような顔でちがった。
「そうよ」
彼女は私を睨みつける。
「さんも、こんな教養のない父親の娘なら、たかがれているわ」
静子さんはげさに肩をすくめる。
「せっかくの顔わせなのに、気分が悪くて仕方がないわね」
彼女はテーブルにを伸ばした。
父の目のにあった、温かいお茶が入った湯呑みを、わざとを滑らせるようにして倒したのだ。
いお茶が、父が今のために調したばかりのスーツの膝にび散る。
「あら、ごめんなさい」
静子さんは元を押さえて笑う。
「あまりに匂うから、が滑ってしまったわ」
父のスーツに、きな茶のシミが広がっていく。
それでも、父は鳴ることも、泣き言を言うこともしなかった。
父は静かにで滴を払う。
「丈夫です。お気になさらずに」
父のその言が、静子さんの逆鱗に触れたようだった。
「何を、その態度は」
彼女は目を吊りげる。
「私が謝っているのに、気に黙り込んで」
静子さんは髪をかきあげる。
「分かったわ。もうの限界よ」
彼女は息子を振り返る。
「健、こんなたち、今すぐ追いしなさい」
静子さんは激しく震える指をさして、父を鳴りつけた。
「クソ農は今すぐここから帰れ」
彼女は切り声をあげる。
「ここは流のが集まる所なの。
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あなたの居所なんて、この本のどこにもないわ」
健さんも、かつての優しさが嘘のようにたい目で父を見ろした。
「お父さん、もう帰ってください」
彼は私に向き直る。
「との結婚は、今この瞬をもってにさせてもらうから」
。
その絶望な言葉に、私は目のが真っ暗になった。
父は濡れたスーツを拭うこともせず、ゆっくりと、そして気なほど泰然とちがった。
「そうですか」
父は彼らを見据える。
「皆さんのお考えはよくわかりました」
父の声は、これまでになくく、徹な響きを帯びていた。
父は私を振り返る。
「、こうか」
父は静かに促す。
「ここには私たちの居所はないようだ」
私は涙が溢れて止まらなかった。
「お父さん、ごめんなさい」
私は声を詰まらせる。
「私がこんなところに連れてきたから……」
父にこれほどの屈辱をわわせるために、今を待ちにしていたわけではない。
父は私の肩にを置いた。
「いいんだ。、おが謝ることは何もない」
父は優しい声で励ます。
「さあ、胸を張ってを向きなさい」
父は私の肩を優しく叩くと、そのままへと向かった。
ろからは、静子さんたちの勝ち誇ったような笑いが聞こえてくる。
「あはは、ようやく消えたわ」
静子の声が響く。
「空気が綺麗になった気がするわね」
彼女はで笑う。
「全く、の程らずな親子だったわ」
正尾の声も続く。
「健、あんな女と別れて正解よ」
屈辱としみの、私たちは料亭をにした。