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"「クソ臭い農家」と再開発地8割の地主" 第1話

級料亭の凛とした空気ので、婚約者の母である静子が顔をひどく歪めた。

彼女はこれ見よがしに、刺繍入りのハンカチでを覆う。

「ねえ、ちょっと何なの。この耐えがたい悪臭は」

私は戸惑いながら、静子に尋ねた。

「お義母様、どうなさいましたか?」

彼女は私を無し、私の隣に座る父をゴミでも見るような目で睨みつけた。

「どうしたもこうしたもないわよ」

静子はハンカチ越しに忌々しげに吐き捨てる。

「そこの男、あなたの父親でしょう。信じられない。体から肥だめのような、クソ臭い農の匂いが漂っているわ」

その瞬、部を流れていた静かなの音が、元でひび割れたようにじた。

隣に座る父は、使い古された作業着ではない。

こののために調したはずの真しいスーツを着ている。

それなのに、目のに座る未来の義実は、斉にをつまみ、蔑みの線を送ってきた。

隣に座る婚約者の健までもが、私を突き放すようにたい言葉を放つ。

さん、君のが貧乏農だとは聞いていたが、ここまでとはね」

父は言も反論せず、ただ静かに俯いていた。

だが、このの彼らはまだらなかったのだ。

父が今、何を伝えにこの所へ来たのかを。

そして、彼らが馬鹿にした農の匂いが、彼らの全財産をみ込む兆だったということを。

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私は必に弁解しようといた。

「申し訳ありません、ですが父は」

私が言いかけた言葉は、義父である正尾の声によってかき消された。

「黙れ」

正尾は嫌そうに顔をしかめる。

潔な奴がこのにいるだけで、が社の品位ががる」

正尾は父に向かって顎をしゃくった。

「おい、クソ臭い農。今すぐここかられ」

この屈辱が、には彼らの絶望に変わる。

そのカウントダウンが、今静かに始まったのだ。

父はゆっくりと、静かにがった。

「わかりました」

父はげる。

「本のところは失礼させていただきます」

その背はどこか寂しげで、それでいてなほどに泰然としていた。

これから始まるのは、プライドを履き違えた成が、自分たちがどれほど愚かな相を敵に回したかを獄の始まりだった。

父は背筋を伸ばし、へと歩きす。

私は父のを追いかけ、に部にした。

級料亭のい廊を歩きながら、私はこれまでの々をい返していた。

私の名は佐藤

方の農まれ育ち、今は都内の商社で事務職として働いている。

私の父、郎は、私が幼い頃に母をくしてから、男1つで私を育ててくれた。

父の仕事は、先祖代々続く広な農を守ることである。

が昇るからにまみれ、真っ黒に焼けして働く父の姿が、私の誇りだった。

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そんな私にの転が訪れたのは、2のことである。

取引先の若社員だった健さんと会い、私たちは自然と結婚を識するようになった。

さんは、堅建設会社である佐藤総建設の御曹司である。

彼は私に優しく微笑みかけてくれた。

さんの素朴で優しいところに惹かれたんだ」

そう言って笑う彼を、私はから信頼していた。

しかし、結婚の話がむにつれ、彼の族、特に母親の静子さんの態度は、私の像を絶するほどややかなものになっていった。

彼女は私をからまで値踏みするように見た。

さん、お宅は代々の農なんですってね」

静子さんはで笑う。

「まあ、料を作ってくださる方は尊いけれど、うちのような由緒ある実業系とはむ世界が違うわ」

初めて挨拶にった際、静子さんは私の目ので、私の実から持参した最級の米を突き返した。

がついているかもしれないから」

彼女はあろうことか、その米をそのままゴミ箱に捨てたのだ。

それでも私は耐えた。

さんは私を庇うように肩を抱いてくれた。

「母さんはああいうだけど、悪気はないんだ」

その言葉を信じていたからである。

さんの実である佐藤総建設は、元では名のれた建設会社であった。

義父となる正尾さんは2代目の社で、最は都内の規模再発プロジェクトにも参入している。

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