"15万円を切られた母と13万円の姑マンション" 第3話
夜の見守りや、全に配慮された設備を買うための必経費だったのだ。
さの代償として、母の全と尊厳が削り取られている現実を目の当たりにした。
私は廊の隅にち、ケアマネージャーの藤井さんへ話をかけた。
数回のコールの、藤井さんの落ち着いた声が聞こえてきた。
「エミさん、阪からお戻りになられたんですね」
私は責めるような調にならないよう気をつけたが、声はかすかに震えていた。
「藤井さん、母の引っ越しのこと、どうして私に連絡をくださらなかったんですか?」
話の向こうで、藤井さんが困惑する気配がした。
「申し訳ありません。ご主から、エミさんも今の計をく案じておられると伺いまして」
藤井さんの言葉に、私は奥歯をく噛みしめた。
「ご夫婦で夜遅くまで話しった末の苦渋の決断だと、ご主からご説を受けました」
志は私のを利用しただけではない。
施設のスタッフにもケアマネージャーにも、周到に嘘をついて回ったのだ。
自分が悪者にならないよう、妻の同という設定をでっちげていた。
藤井さんは申し訳なさそうに言葉を続けた。
「私どもも急な退で驚きましたが、ご族の総と言われれば、引き止める権限はありません」
藤井さんの言う通りだ。
族が同し、本が署名している以、部のにはどうすることもできない。
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藤井さんは専としての客観な見を付け加えた。
「今のアパートでも、制度は訪問介護の回数を増やすことは能です」
私は黙って藤井さんの言葉を聞いていた。
「ですが、夜の見守りがない環境は、現のさんの状態では転倒リスクがすぎます」
私はく息を吐きした。
「そうですよね。率直に申しげて、以の環境の方が、さんにとってもご族にとってもでした」
プロのから語られた厳しい現実に、私は胸を痛めた。
易な節約がどれほど危険な綱渡りであるか。
志はその現実から目を背け、ただ数字だけを見て母をかしたのだ。
私は話を切り、部で縮こまっている母の元へ戻った。
母はげに私を見げ、自分のが迷惑をかけていると怯えているようだった。
私は母の目ので膝をつき、線を同じさにわせた。
「お母さん、1つだけ本当の気持ちを聞かせて」
母は戸惑うように目をしばたかせた。
「私の負担とか、志さんの言葉とか、そういうのは全部抜きにして」
母は私の顔をじっと見つめ返した。
「お母さん自は、これからどうしたい?」
しばらくの沈黙の、母は震える声でぽつりと言った。
「できれば……みたいなところに戻りたいわ」
その言葉を聞いて、私はの底から堵した。
母がしたままなら、私はどう戦えばいいのか分からなくなるところだった。
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私は力く頷いてみせた。
「分かった。お母さんが悪いんじゃないから、自分を責めないで」
母はさく頷いた。
「私が必ずしい全な所を探すから、しだけここで待っていて」
これが、私が踏みした最初の歩だった。
もう夫の勝な判断には従わない。
母の活は、母自のと私の責任で守り抜く。
私は母のために用品を買い揃え、ろ髪を引かれるいでアパートをにした。
自宅のマンションに戻ると、すでに夕方になっていた。
玄関のドアをけると、リビングからテレビの笑い声が聞こえてくる。
志はソファに寝転がり、気楽な様子でスマートフォンをいじっていた。
志は私を見るなり、悪びれることもなくそんな言葉を投げかけてきた。
「ああ、おかえり」
私は鞄をに置き、志のにった。
静かな声で問い詰めると、志は面倒くさそうにを起こした。
「どうしてケアマネージャーさんや施設のに、私も賛成しているって嘘をついたの」
志はスマートフォンをテーブルに置いた。
「嘘じゃないだろ。おだって内は15万円なんていとってたはずだ」
私は志の目を真っ直ぐに見据えた。
「私はそんなことを1度も言っていない」
志は自分が正しいことをしたのだと微も疑っていない顔つきだった。
「だから俺が代わりに、おの背を押してやったんだよ」