"中卒の清掃員をクビにした翌日" 第10話
「君は自分の評価のためだ」
杉の顔が張る。
は資料を枚した。
「本社への異希望」
「役員候補への推薦申請」
「君は今回の改革を、自分の世材料にしようとしていた」
杉は何も言えなかった。
すべて調べられていた。
は窓のを見る。
「杉君」
「会社というのは、でできている」
「数字だけではかない」
「がなくなった会社は、いずれお客様にも見放される」
そして。
静かに告げた。
「君をフロア統括マネージャーからす」
杉の顔から血の気が引いた。
「そんな……」
「会……」
は続ける。
「そして」
「川さんへの契約終判断について、正式な再調査をう」
杉は俯いた。
***
その頃。
結は自宅にいた。
制を返却したから。
まだ現実を受け入れられずにいた。
テーブルのには。
昭栄百貨から渡された退職関連類。
母が静かに言った。
「結」
「うん」
「悔してる?」
結はし考えた。
「……分からない」
「でも」
「5働いたことは悔してない」
母は微笑んだ。
「それでいい」
「あなたが懸命だったことは、誰にも奪えないから」
その。
携帯話が鳴った。
画面を見る。
昭栄百貨。
結は迷った。
恐る恐る話にる。
「はい……川です」
話の向こうから聞こえた声。
「川さん」
「田でございます」
結の表が変わる。
「突然申し訳ありません」
「もう度、百貨へ来ていただけないでしょうか」
広告
「……私、もう退職したはずですが」
田は静かに答えた。
「会が」
「あなたと直接お話ししたいとおっしゃっています」
結は息を止めた。
会。
その言葉のを。
まだ理解できていなかった。
しかし。
翌。
結のは。
再びきくき始める。
「会が……私と?」
話の向こうから聞こえた言葉に、結は戸惑った。
「はい」
田事部の声は、以とはらかに違っていた。
どこか申し訳なさが混じっている。
「川さんには、直接お詫びをしたいと」
「お詫び……ですか?」
結にはが分からなかった。
契約終は決まったことだった。
自分はもう昭栄百貨の社員ではない。
それなのに、なぜ今さら会いたいと言うのか。
「分かりました」
結はさく答えた。
「、伺います」
話を切った。
母が配そうに顔を覗き込んだ。
「結、どうしたの?」
結はし迷った。
「百貨から呼ばれた」
「また仕事の話?」
「分からない」
母は娘の顔を見た。
「怖い?」
結は正直に頷いた。
「し」
5。
毎通った所。
でも最のは。
まるで自分が必ないだと言われたようだった。
また傷つくのではないか。
そんながあった。
母は優しく笑った。
「結」
「はい」
「あなたは何も悪いことをしていないよ」
「……」
「胸を張ってっておいで」
その言葉に、結はさく頷いた。
***
翌。
結は久しぶりに昭栄百貨のにった。
広告
見慣れた入。
何度も磨いたガラス扉。
毎朝5にっていた所。
しかし。
今は以とは違う気持ちだった。
「川さん」
声をかけられて振り返る。
田美咲だった。
以、休憩で結の仕事を軽く見ていた販売員。
美咲はし気まずそうな顔をしていた。
「……久しぶり」
「お久しぶりです」
結はいつものようにをげた。
その姿を見て、美咲の表が曇った。
「ごめんなさい」
突然の言葉。
結は驚いた。
「え?」
「私……」
美咲は線を落とした。
「、川さんのこと」
「清掃だからって、勝に決めつけてた」
「いつも笑ってるから、何も考えてないとってた」
結は黙って聞いていた。
「でも違った」
美咲の声が震える。
「番お客様のことを考えていたの、川さんだった」
結はし笑った。
「そんな……」
「本当だよ」
美咲は言った。
「昨、会から聞いた」
「あなたが5してきたこと」
結は驚いた。
「会が……?」
その。
田がづいてきた。
「川さん、お待たせしました」
「会議へご案内します」
***
最階。
以、度も入ったことのない所。
役員専用フロア。
結は緊張しながら歩いた。
会議の扉がく。
そこにいたのは。
だった。
しかし。
もう作業着姿ではない。
質なスーツ。
背筋の伸びた姿。
誰もが自然にをげる。
それでも。
結には。
あの堂で緒に弁当をべた老に見えた。
「さん……」
は優しく笑った。
「久しぶりだね、川さん」
結はをげた。
「私……何か問題がありましたか?」
その言葉に。
はししそうな顔をした。