"中卒の清掃員をクビにした翌日" 第6話
「ああ……」
結はし笑った。
「仕事ですから」
「でも、納得していない顔をしている」
の言葉に、結は黙った。
しばらくして、ぽつりと言った。
「私……」
「はい」
「5、懸命やってきたつもりでした」
声がし震える。
「でも、もしかしたら……ただ自分勝に頑張っていただけなのかなって」
は何も言わず聞いていた。
「お客様に声をかけるのも、良いことだとっていました」
「でも、会社から見たら迷惑だったのかもしれません」
結は笑おうとした。
しかし、うまく笑えなかった。
「私、卒なので……」
その言葉に、の表が変わった。
「学歴で判断されたのかい?」
結はし俯いた。
「杉さんは悪いではないといます」
「悪い?」
「はい。きっと会社のことを考えているんだといます」
は静かに尋ねた。
「本当にそううのかい?」
結はし考えた。
「……分かりません」
初めて、本音がた。
「でも、誰かを悪く言うのは嫌なんです」
はその言葉を聞いて、く息を吐いた。
「君は……」
「はい?」
「本当に議なだね」
結は首を傾げた。
「そうですか?」
「ああ」
は窓のを見た。
「普通なら、るところだ」
「悔しくないわけではありません」
結はさく笑った。
「でも、っても仕事は戻ってきませんから」
「それに……」
しを置いて続けた。
「母がいつも言っていました」
「どんな状況でも、自分までを嫌いになる必はないって」
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は目を伏せた。
その言葉を、のに刻むように。
***
翌週。
結の仕事はきく変わった。
今まで歩いていた華やかな1階フロア。
お客様の笑顔が見える所。
そこかられた。
担当所は倉庫。
械。
従業員用トイレ。
誰も見ない所だった。
朝。
午5。
結はフロアへ向かった。
暗い通。
古い配管。
械の音。
以なら、くのが通る所を磨いていた。
今は誰も来ない所を磨く。
それでも。
結はを抜かなかった。
の隅。
棚の。
配線周辺。
つつ丁寧に掃除した。
「ここも、誰かが使う所だから」
そうっていた。
しかし、その姿を見ているがいた。
だった。
はわざとではなく、何度もフロアへを運んでいた。
最初は確認だった。
しかし、次第に違うが芽えていた。
「誰も見ていない所で……」
は呟いた。
「ここまでできるがいるのか」
***
方、杉は改革をめていた。
彼の評価は社内でまっていた。
「杉さんのおかげでコスト削減できています」
「さすが資系ですね」
周囲から褒められるたび、杉は自信をめていった。
「やはり、では会社はかせない」
彼はそう信じていた。
あるの管理会議。
杉はしい資料を提した。
「契約社員の再評価制度を導入します」
「基準は?」
「効率性です」
スクリーンに数字が映る。
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作業。
件費。
対応件数。
すべて数値化されていた。
「これによってな員を理できます」
役員たちは資料を見る。
そのに、結の名もあった。
評価欄。
赤い文字。
【改善必】
理由。
【担当数】
杉は迷いなく言った。
「彼女は悪いではありません」
「しかし、組織には向いていない」
その言葉を聞いた役員の1が尋ねた。
「川さんは、お客様からの評判が良いという報告もありますが」
杉は答えた。
「評判だけでは会社は成りちません」
「必なのは再現能な仕組みです」
「個の善に頼る経営は危険です」
そのでは、誰も反論しなかった。
しかし。
会議の。
その会話を聞いている物がいた。
だった。
は静かに歩きった。
表は変わらない。
しかし、のでは確信がまっていた。
「杉君は……」
「数字しか見えていない」
***
数。
結は母の病院へ向かった。
仕事帰り。
し疲れた顔で病に入る。
「お母さん」
「おかえり、結」
母は笑った。
しかし、すぐに娘の異変に気づいた。
「何かあった?」
「え?」
「結、昔から分かりやすいのよ」
母は優しく笑う。
結はし迷った。
でも、配させたくなかった。
「丈夫」
「仕事でし配置が変わっただけ」
母は黙って娘のを握った。
「結」
「はい」
「あなたは昔から、のために頑張りすぎるところがあるね」
「……」
「でもね」
母は続けた。
「誰かが見ていなくても、あなたがしてきたことは消えないよ」
結の目に涙が浮かんだ。
「お母さん……」
「あなたは胸を張っていい」