"中卒の清掃員をクビにした翌日" 第4話
そして、自分の5の働きを、初めて正しく見てくれるになることを。
郎。
その名を聞いても、結は何もわなかった。
昭栄百貨で働くしい清掃員。
それだけだった。
まさか、その老が自分のを変えるになるとは、当の結には像もできなかった。
翌朝。
午5。
まだ館内の照の部しか点いていない。
結はいつものようにエントランスへ向かった。
しかし、そのはしだけを止めた。
が入付でち尽くしていたからだ。
には品の清掃用具。
しかし、どこか困ったような表をしている。
「さん?」
声をかけると、老は振り返った。
「ああ、川さん」
「どうしました?」
はし恥ずかしそうに笑った。
「実は……このモップの使い方がよく分からなくてね」
結は瞬驚いた。
清掃員として働くなら、誰でもっているような基本な具だった。
しかし、の表には議と嫌なじがなかった。
分からないことを隠そうとしているのではなく、本当に困っているだけだった。
「丈夫ですよ」
結はすぐにづいた。
「最初は私も苦労しました」
そう言って、モップの持ち方を説する。
「力を入れすぎるとに跡が残るので、し滑らせるじです」
「なるほど……」
は真剣な顔で聞いていた。
「こうかい?」
「はい、です」
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結が笑う。
その瞬、はし目を細めた。
「君は、誰にでもそうやって教えるのかい?」
「え?」
「迷惑そうな顔を度もしなかった」
結は議そうに首を傾げた。
「困っているがいたら助けるのは普通じゃないですか?」
は何も答えなかった。
ただ、静かに結を見ていた。
***
が昭栄百貨に来てから数。
2はしずつ会話をするようになった。
昼休み。
従業員堂。
結はいつものようにさな弁当箱をいた。
には卵焼き。
しの野菜炒め。
そしていご飯。
豪華ではない。
でも、結にとって切な弁当だった。
「お母さんが作ってくれたんです」
そう言うと、は優しい表になった。
「お母さんが?」
「はい。体調がいいは作ってくれます」
「君が作ってあげるんじゃなくて?」
「本当は私が作るべきなんですけど……」
結はし笑った。
「母は昔から料理が好きで。病気になっても、私のために何かしたいって言うんです」
は黙って聞いていた。
「だから、私も頑張らないとってってます」
「君は若いのに……」
はさく息を吐いた。
「随分、背負っているんだね」
結は首を振った。
「そんなしたことじゃないです」
「したことじゃない?」
「はい」
結は笑った。
「母が私を育ててくれたに比べたら、5働くくらい普通です」
その言葉を聞いた瞬。
のが止まった。
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「……そうか」
静かな声だった。
しかし、その表には何かいが浮かんでいた。
***
その頃。
昭栄百貨の管理部では、杉亮介がしい改革案をめていた。
「件費を15%削減できます」
会議。
杉は資料を映しながら説していた。
「現、契約社員や部スタッフのには、必以の員がいます」
役員たちは資料を見る。
「具体には?」
「評価基準を厳格化します」
杉は答えた。
「決められた業務以をう社員は、評価をげる」
「お客様対応なども含めてですか?」
役員の1が尋ねる。
杉は迷わず頷いた。
「はい」
「でも、昭栄百貨は接客を切にしてきた歴史があります」
別の役員が言った。
杉は静に返した。
「歴史だけでは会社は維持できません」
「必なのは利益です」
「ではなく数字です」
会議は静かになった。
杉は自信があった。
過、資系企業で何度も成果をしてきた。
数字を改善した。
赤字部をて直した。
なコストを削った。
その経験が彼ので絶対な正しさになっていた。
しかし、杉にはらないことがあった。
昭栄百貨が120以続いてきた理由。
それは数字だけではなかった。
商品でもなかった。
建物でもなかった。
だった。
***
あるの午。
結は1階エントランス付を清掃していた。
すると、がくを通った。
「川さん」
「はい」
「し聞いてもいいかい?」
「何でしょう?」
は周囲を見渡した。
「君は、誰にも見られていない所でも同じように仕事をするのかい?」
結はし考えた。