"中卒の清掃員をクビにした翌日" 第3話
お客様とのさな交流だった。
あるの午。
70代くらいの女性客が、1階の案内板ので困った顔をしていた。
「すみません……婦売りはどちらでしょうか」
くには販売スタッフが何かいた。
しかし、皆忙しそうに接客していた。
結はモップを置いた。
「婦売りですね。5階でございます」
女性はした顔をした。
「ありがとう。でもエレベーターはどこかしら?」
「ご案内します」
結は女性の荷物を持った。
「そんな、悪いわ」
「丈夫です」
エレベーターまで歩く。
その、女性は何度もをげた。
「あなた、員さん?」
結はし笑った。
「清掃担当です」
「そうなの?でも、とても親切ね」
「ありがとうございます」
「あなたみたいながいるおはするわ」
その言葉だけで、頑張れる気がした。
しかし、その来事をくから見ている物がいた。
杉亮介。
36歳。
先、昭栄百貨に着任したばかりのフロア統括マネージャー。
資系コンサル会社。
数字分析。
員管理。
業務効率化。
それらを武器に、若くして管理職までり詰めた男だった。
杉はタブレット画面を見ながら、結の記録を確認していた。
「またか」
画面には、
【清掃業務、顧客対応】
という記録。
杉は眉をひそめた。
「清掃員が接客をしている」
隣にいた部が言った。
「でも、お客様からの評判は良いみたいですよ」
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杉はで笑った。
「それが問題なんです」
「え?」
「役割分担が崩れる」
杉は静な声で続けた。
「会社というのは、決められた仕事を決められた通りにう所です」
「でも、お客様が困っていたら……」
部が言いかける。
杉は遮った。
「それは販売スタッフの仕事です」
そして画面を閉じた。
「善で勝なをするほど、管理する側から見ると厄介なんですよ」
杉には、独自の考えがあった。
昭栄百貨は歴史がい。
しかし、その歴史ゆえに古い体質が残っている。
彼はそれを変えるつもりだった。
無駄をなくす。
件費を削減する。
成果を数字で判断する。
それが正しい経営だとっていた。
そのの午。
結がバックヤードへ戻る途、杉とすれ違った。
いつものようにをげる。
「お疲れ様です」
しかし杉はを止めた。
「川さん」
「はい」
結が振り返る。
杉はタブレットを見ながら言った。
「あなた、昨お客様対応しましたね」
結の表が固まった。
「はい……困っていらしたので」
「それはあなたの仕事ですか?」
「……」
「違いますよね」
たい声だった。
「清掃員は清掃をする。それ以は必ありません」
結はさく頷いた。
「申し訳ありません」
「謝ることではありません。理解してください」
杉は続けた。
「あなたは5働いているようですが、まだ自分のが分かっていない」
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その言葉に、結の胸が締め付けられた。
「……ですか」
「はい」
杉は淡々と言った。
「契約社員には契約社員の役割があります」
瞬、何か言いたかった。
でも、結はみ込んだ。
「分かりました」
そう答えた。
そのの帰り。
駅まで歩きながら、結はいつもよりしだけを向いていた。
スマホを見る。
母からメッセージが届いていた。
【今はし体調いいよ】
【結も無理しないでね】
その文字を見た瞬、胸の奥が温かくなった。
「丈夫」
結はさく呟いた。
「私は丈夫」
そう言い聞かせた。
翌朝。
いつものように午5。
結が勤すると、入付に見慣れない老がっていた。
髪。
し曲がった背。
清掃用具を持った柄な男性。
しかし、そのち姿にはどこか議な品があった。
老は館内を見回していた。
まるで初めて来た所を確認するように。
結は迷わず声をかけた。
「おはようございます」
老が振り返る。
し驚いた表。
「おはよう……」
「今から清掃のお仕事ですか?」
老は頷いた。
「ああ。と申します」
「私は川結です。分からないことがあったら聞いてください」
結は笑った。
「私も最初は何も分からなかったので」
老はその言葉を聞いて、しばらく結を見つめた。
「君は……」
「はい?」
「いや、何でもない」
はさく笑った。
しかし、その目の奥には、確かな興が宿っていた。
この、結はまだらなかった。
目のにいる老が、昭栄百貨の未来をする物であることを。