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"七歳の女の子が握りしめた富士山の木札" 第22話

「宮さん、娘を支えてくださりありがとうございます。このて直すは私が保証します。この子の叔父である私の弟が迷惑をかけた埋めわせをさせてほしい」

「ありがたいお話ですが、お断りします」

俺は自分でも驚くほどはっきりと言った。

「祖父がてて、親父が次いで、俺がやっています。直すは直せる分だけ直します。今までもそうやってきたんです」

父親は俺の顔を見て、それ以言わなかった。さ苗さんと父親はそのお互いのき違いを解消したようだ。し話し込んだ、父親は再度げて帰っていった。

その夜、さ苗さんとは2階の部いこと話していた。俺は呼ばれるまでで待った。りてきたさ苗さんが言った。

「宮さん、私たちこの町に残ることに決めました」

「本当にいいんですか? 父のに戻れば暮らしは楽になります」

「それは分かっています。でもと2で決めたんです」

が母のして番台のった。

「私、楓湯にいたい」

俺は番台の縁にをついた。ずっと俺が誰かに所をやる側だとっていた。湯を沸かして札を渡して、居所を差しす側だとっていた。今、居所を与えられているのは俺の方だ。

が俺の顔を覗き込んで、袖を引いた。

「おじさん、泣いてる」

「お湯だ。もう落ちてるのに」

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俺は返事をしなかった。しばらく顔を伏せたままでいた。

その翌朝、まだ休業に常連客が集まってきた。魚が脚を担いできて、豆腐が雑巾を持ってくる。誰も俺に断りを入れずにズカズカと入ってくる。釜の井の煤や、の埃を落とし始めた頃には10くがを向いていた。

「まだけるとは言ってませんよ」

けるまでに綺麗にしとくんだよ。だった3じゃりんだろう」

そう言つつもみんな気あいあいとしながら湯の掃除をしてくれる。みんなの温かさを改めてじ、俺とさ苗さんは顔を見わせて笑った。

そのの夕方、母が湯に来た。が休業していると隣の県までに聞いたという。連絡は取っていたが会うのは20ぶり。昔の記憶しか残っていなかったが、母はさくなっていた。番のの俺を入りから黙って見ている。

「かず……」

「母さん」

「入っていい?」

「今は沸かしていないんだ」

「そう……」

「でも今は常連客が掃除してくれて、今から試し湯をしようとしてたところなんだ。し待ってて」

俺はそう言ってから釜へってを入れた。湯がくまで1かかった。「試し湯」という言葉を嘘じゃないで使ったのは初めてだった。

母はその、脱所の子に座って何も言わない。湯がれてから、母は女湯へ入っていった。

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かった。40分経ってもてこない。俺は正面をいたまま落ち着かず、帳面もかなかった。壁の向こうからの音だけが聞こえていた。

しばらくしててきた母は、番台につ俺を見て言った。

「いい湯だった」

それだけだ。荷物を持って坂をりようとする。俺はその背に言った。20言わなかったことだ。

「母さん、俺、寂しかった」

母はを止めたが、振り返らなかった。肩が1度だけがってりた。それから頷いた。何度も頷いて、そのまま坂をりていく。俺は追いかけず、母も戻らなかった。それだけでに引っかかっていたものがすっと消えた。

11になると、噂もすっかり消えていた。所もはっきりしたし、何より魚や豆腐が率先して噂は誤解だったと説してくれていた。

12に楓湯はようやくのれんを戻す。今ののれんを俺とさ苗さんで両端からかける。庭先の楓では葉を落としていた。

「今は何の湯?」

「柚子湯だ」

「まだ12の真んだよ」

「今は特別だ」

そのは久しぶりにが並んだ。俺とさ苗さんも慌ただしい1を過ごした。

12末になると、番台には鏡餅が乗る。には最の客を送ってから、3を越した。は湯がまで流れして通りがくなった。は窓に張り付いてそれを見ていた。

けてすぐ、俺とさ苗さんは役所へった。

滞納したままの賃と費をどう付けるか、使える当てがないか。番号を呼ばれて係りのに座った。

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