"3000万円と捨てられた母の罠" 第15話
許せないの?」 「今はまだ会えないわ」 美恵子さんはそれ以は何も聞きませんでした。
逮捕、健とさやかは起訴され裁判を待ちました。しかし、はる子は面会にはきません。それが今のはる子にできる全てでした。
机のには通のがあった。拘置所にいる息子からのでした。はる子はそのをに取りましたが、けずに引きしにしまいました。はる子にはまだが必でした。
1週が経ちました。はる子はしずつ常を取り戻していきました。朝に起き、ご飯をべ、窓のを眺めました。美恵子さんは相変わらず毎来てくれました。
そのの夕方のことでした。事を終え、皿洗いをしました。はる子が言いました。 「美恵子さん、ありがとう。でももう丈夫よ。毎来なくても」 美恵子さんははる子を見た。 「本当にいいの?」 「ええ、もう1でも丈夫」 美恵子さんは笑った。 「そう、じゃあ今はく帰るわね。辛くなったらいつでも話して」 「わかったわ」
美恵子さんが帰っていきました。ドアが閉まり、はる子は1になりました。静かでした。でも、寂しくはありませんでした。
はる子は寝へき、ベッドに腰かけた。引きしをけ、1番の段にある古いハンカチを取りした。それを広げると、本物の実印がてきました。はる子は其の印鑑をに握りました。
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もう全でした。警察の話では財産は仮差押えの措置が取られ、保護されているとのことでした。息子夫婦はしできません。病院の記録も訂正され、認症の疑いという所見は虚偽の申告によるものとして記録されました。はる子は健康でした。
はる子はリビングへ戻り、ソファに座った。バッグから通帳を取りした。通帳をき、最初のページを見ました。——預者:はる子。自分の名でした。 はる子はその通帳を胸に抱いた。もう2度と誰かに預けたりはしません。自分で管理するのです。
はる子は引きしから旅のパンフレットを取りした。買ったものでした。1度もいたことがありませんでした。今、それをいてみました。、京都……きたい所がたくさんありました。 遅いなんてことはない。今が始まりよ。はる子は静かにつぶやいた。
洗面所へき、鏡を見た。はる子は鏡のの自分をまっすぐに見つめた。しわの寄った顔、髪の混じった髪。しかし、そのまなざしはっきりとしていました。揺らいではいませんでした。
はる子は自分自に言った。 ——「もう誰かの母親じゃない。私よ、はる子なのよ」
窓のを見た。が来ていました。々にはしい芽がています。季節は移り変わっていました。はる子の1も変わりました。静かでしたが、しっかりとした1でした。
誰かに決められた1ではありません。自分で作る1でした。
朝に起き、コーヒーをみます。聞を読みます。昼には美恵子さんと話をします。夕方には散歩にかけます。ささやかですが、自由な1でした。
はる子は旅のパンフレットを再びいた。のページにさなメモをき込んだ。美恵子さんと……。
窓から温かい差しが差し込んできました。