みかん小説
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"3000万円と捨てられた母の罠" 第9話

はる子は素くズボンの縫い目からペン型録音を取りし、廊の角にを隠して録音ボタンを押した。

「母さん、完全に認症みたいだ。玄関の暗証番号も覚えてない」 健の声でした。 「よかったわ。あとは司法士と程を決めるだけね」 とさやかはさく言った。 「いつにするんだ?」 「検査の結果が次第……来週あたりかしら?」 エレベーターが到着し、チャイムが鳴った。 「薬はちゃんとませてるんだろうな」 「ええ、施設で面倒を見てくれるって」

はる子のは震えていましたが、録音はしっかりと握りしめていました。ドアがきました。2が乗り込みます。 「来週には終わりよ」 エレベーターのドアが閉まりました。はる子は素く録音を止め、部に戻った。ベッドに座り、ペンを見ろした。また録音できました。司法士、程、薬の話、全て。

次のの朝でした。護師が薬を持ってきました。 「おばあちゃん、お薬のです。ご族からです」 い錠剤でした。はる子はそれを受け取り、に入れた。 「おをどうぞ」 護師がの入ったコップを渡してくれた。はる子はそれをみましたが、薬はみ込みませんでした。舌のに隠したのです。 「ちゃんとめましたね」 「ええ」 はる子は頷いた。護師はった。 はる子はトイレへき、薬を吐きした。ティッシュに包んで便器に流した。

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しかしそのの夕方のことでした。別の若い護師が薬を持ってきました。 「おばあちゃん、お薬ですよ」 はる子は同じようにした。に入れ、み、舌のに隠す。 「ちゃんとまれましたか?」 「ええ」 しかし、その護師はち止まった。 「おばあちゃん、けてみてください」 はる子の臓がドクンとねた。どうして? 「ちょっと確認させてください。おけてください」 護師がづいてくる。はる子は慌てた。見つかってはいけません。 はる子はけ、を持ちげました。薬が見えそうになった。その瞬、はる子は声で笑った。 「どうして歯磨き決定?」 突然、突拍子もないことを言いました。護師は戸惑いました。 「いえ、お薬を……」 「薬はんだわよ。美しかったわ」 はる子はあっけらかんと笑いながらを叩いた。まるで本当に正気を失ったのように。 護師は困ったような顔をし、ため息をついた。 「はい……ちゃんとまれたなら結構です」 護師がった。はる子は急いでトイレへき、薬を吐きした。胸がドキドキしました。危ういところでした。でも乗り切っていました。演技は効果を発揮していました。

が経ちました。息子夫婦はさらに油断していました。話もあまりかかってこなくなり、面会も途絶えました。はる子には分かっていました。

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自分が認症患者のように振るえば振るうほど息子夫婦はし、すればするほどくのことをにするということ。

はる子はベッドに横になり、井を見つめました。数にエレベーターので聞いた会話がを巡ります。——「司法士と程を決めるだけ。来週には終わりよ」 なぜそんなに急ぐのでしょうか? 財産のためだということは分かっています。しかし、何が息子夫婦をそこまで焦らせているのでしょうか?

はる子は記憶をたどった。1へと遡ります。 息子の健が事業を始めました。きなカフェでした。さやかに勧められたのです。「も良いし、成功するわよ」と。はる子は配でした。健には商売の経験がなかったからです。しかし、止めることはできませんでした。もう契約を払ってしまったと言っていたからです。

数ヶが経ちましたが、カフェに客は来ませんでした。賃だけが積もっていきます。健が尋ねてきました。 「お母さん、おし貸してください」 いく必を尋ねると、2000万円だと言いました。はる子は躊躇しました。です。カフェがうまくいかないなら畳んだ方がいいわ。 「もうしだけ頑張ればお客さんは増えますから。お願いします」 健の目は焦っていました。はる子は結局おを貸してしまいました。

その2ヶ、健がまた来た。 「お母さん、申し訳ないんですが、あと500万円だけ貸してください」

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