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"片親の分際で、100年早い" 第13話

謝の言葉を伝えると、父はな言葉を返してきた。

「礼を言うのは私の方だ。おが私を呼んでくれた。それが何より嬉しかったんだ」

父の目がしだけ潤んでいるように見えた。俺たち親子のにはの隔たりがあった。母がくなった、祖母は父を憎み、俺と父を引きした。俺は父の顔も名らずに育った。学3に初めて会って以来、しずつ関係を築いてきた。でも、どこかに慮があった。祖母の言葉がかられなかったからだ——「あの男のせいで美鈴はんだんだ」。その言葉を信じていた俺にとって、父を頼ることは裏切りのような気がしていた。しかし今、俺は父を呼んだ。「——だそうです、父さん」。その言が、俺たち親子の壁を壊したのかもしれない。

「さて、戸塚君」

父が再び戸塚に向き直った。戸塚はまだ子に座ったまま震えていた。

「君の処分については改めて通する。それまで事部の職務は止だ。言い訳は聞かない。今の君のはこの病院の信頼をきく損なうものだった。相応の責任を取ってもらう」

戸塚が何か言おうとしたが、父は厳しい目で制した。戸塚はがっくりとを垂れた。

その姿を見て、俺は複雑な気持ちになった。戸塚は確かに俺にひどいことをした。しかし彼もまた、過に傷を負っただった。

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片親で育ち、周りからげすまれ、それでもがってきた。その苦しみは本物だったはずだ。ただ彼は、その苦しみを者への攻撃に転嫁してしまった。

俺はそうなりたくない。過の苦しみを、誰かを傷つける理由にしたくない。

父が俺の肩にを置き、こうと促した。俺は最にもう度戸塚を見た。彼は顔をげず、ただ震えていた。

面接ると、廊には里佳が待っていた。病院の廊は午差しに照らされてく輝いている。通りかかった護師たちが私たちを見て驚いたような表を浮かべた。委員が直接面接に入るなど代未聞の来事だったのだろう。

俺と父が並んでてきたのを見て、里佳は目を丸くした。

「陽くん、そのは……」

俺は父を紹介した。代憲吾——学付属病院の委員で、俺の父親だと。

「ええっ——!?」

里佳の絶叫が廊に響き渡る。くにいた護師や受験が何事かと振り返った。父が「君が桐さんかな」と声をかけると、里佳はさらに混乱した様子で俺と父を交互に見た。

なぜ黙っていたのかと問われ、俺は正直に答えた。言ったら周りの態度が変わる。自分の力で評価されたかったのだと。

「母さんは俺が5歳のくなった。父さんとは学3まで会ったこともなかったんだ。祖母が引きしたから」

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「私が経緯を説しよう」

父が静かに語り始めた。妻がくなった、俺を引き取ろうとしたが、義母が許さなかったこと。義母は父をんでおり、俺と父を引きしたこと。義母がくなってからずっと俺を探していたが、なかなか見つからなかったこと。学3にようやく学会で再し、それ以来ずっと関係を築いてきたこと。

「陽付属を受験すると聞いた、私は嬉しかった。同に複雑な気持ちもあった。陽は私の名を使わずに受験すると言った。『自分の力で格したい』。その志を尊して、私は見守ることにした。でも、さすがに今のは見過ごせなかった。戸塚君のは許容できる範囲を超えていた」

里佳は複雑な表を浮かべていた。

「藤川くん……いえ、代くん。あなた、ずっと1で戦ってたんだね。バカだなあ、く言ってくれれば私も緒に戦ったのに」 「おに迷惑をかけたくなかったんだ」 「迷惑なんかじゃないよ。友達でしょ!」

俺はしだけ微笑んだ。里佳は俺の友達だ。6ずっとそばにいてくれた。片親育ちであることをっても態度を変えなかった。そんな彼女に、俺は救われていた。

「さて、陽し話がしたい。はあるか?」 「ああ、はい」 「では、私の部に来てくれ」

父が先に歩きした。俺は里佳に軽くを振り、父の跡を追った。

委員は病院の最階にあった。エレベーターをりると、そこは静寂に包まれた空だった。廊の喧騒が嘘のように、ここだけが止まったような静けさがある。

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