"席次表から消された姉" 第17話
そして、過でおと翔太が私の退職座から正に引きした、総額千百万円に及ぶ使い込みの全細だ」
テーブルのに、克己さんが保管していた通帳の完全な履歴、そして成見に就任予定の弁護士が調査した使途の追跡記録が広げられた。
そこには、冴子さんが『商の顧客維持』のために買い漁ったミンクのコートや貴属、翔太の級の、会員制ゴルフクラブの会費の記録が、克己さんの署名を偽造した払戻請求のコピーとともに克に綴られていた。
「これらはすべて、業務横領および私文偽造・同使として、弁護士を通じて刑事告訴の準備をめている」
「け、刑事告訴……!?」
翔太の喉から、空気の抜けるような鳴が漏れた。
「嘘だろ……親父、僕を刑務所に入れる気か!? 実の息子だぞ! 僕にはコンサルタントとしてのキャリアがあるんだ! そんな科がついたら、会社をクビになる!」
「自業自得だ」
私は翔太のにみた。 震える男の目を、逃げを塞ぐように真正面から見据える。
「翔太さん。あなた、昨デイケアセンターで私に言ったわよね。『姉が父親をたぶらかしたとネットに実名でばら撒いて、度と介護の仕事ができないようにしてやる』って」
「そ、それは……が滑っただけで……」
「が滑ったんじゃない。
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それが、あなたの本性よ」
私はバッグから、束のクリアファイルを取りした。 田区の病院で森さんたちケアスタッフがいてくれた署名入りの目撃証言。 翔太と冴子さんが病で父親を罵倒し、放置してちったの記録。 そして――。
「これを見て」
私はスマートフォンの画面を座卓のに置き、再ボタンを押した。 スピーカーから流れてきたのは、冴子さんのヒステリックな、けれど酷極まりない音声だった。
『綾さん、今夜も当然病院へっていただけますわよね? 美奈さんの結婚を認めて差しげたのだから、これくらいの務めは当然ですわ。もし今夜お父様が粗相をなさってシーツを汚すようなことがあれば、美奈さんのお里の教育を疑いますことよ』
の、姉の携帯話の留守番話に残されていた冴子さんのメッセージだった。 姉は、万がののために、すべての音声とメッセージを消さずに保していたのだ。
静まり返った部に、冴子さん自の残酷な声が霊する。 聞くに耐えない脅迫と搾取の証拠。
「あ、ああ……」
冴子さんは両でを塞ぎ、そのにへたり込んだ。 絢爛な加賀友禅の裾が乱れ、のに飾られたけがガタガタと揺れる。
「お義母様。あなた方が守りたがっていた『鈴の格』って、体何だったんですか?」
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私の声は、驚くほど静かで、それゆえに刃のように鋭く部に満ちた。
「病で倒れた実の父親を、汚いと罵って病に放置することですか? の族のみにつけ込んで、夜の労働を無で押し付けることですか? 失禁の始末をに丸投げしておきながら、その恩を『排泄物の臭いが染み付いた等な』と見して排除することですか?」
「ち、違う……わたくしは……鈴の体面を……」
「体面?」
私は笑を浮かべた。
「あなたの言う体面とは、嘘と見栄と横領で塗り固められた、ただの張子の虎じゃない。 私の姉はね、あなたたちが逃げしたあの暗い病で、毎晩、の命と尊厳を支え続けていたのよ。 自分の眠を削り、指先を血潮でにじませながら、見ずらずのあなた方の父親のきる力を守り抜いたの。 この世で番気く、誇りい仕事をしているのは、私の姉です。 あなたたちのような、の血を啜って着飾ることしかできない寄虫に、姉を侮辱する資格なんて爪の先ほどもない!」
「美奈……頼む、やめてくれ!」
翔太が私の元にすがりつこうとを伸ばしてきた。 その顔は涙とでぐしゃぐしゃに崩れ、かつてのエリートの面など微もなかった。
「僕が悪かった! 母さんの言いなりになっていた僕が愚かだったんだ! 席次表は元に戻す! お姉さんを主賓席に呼ぼう! 僕が座して頼むから! だから結婚式だけは……頼むから破談にしないでくれ! 式のキャンセル料も、親戚への説も、僕ひとりじゃ抱えきれないんだよ!」