"席次表から消された姉" 第14話
克己さんは私の肩を抱き寄せ、その枯れのような指先で私の腕をしっかりと支えた。
「綾さんだ……! 美奈さん、君の、お姉さんだ!」
界が、涙で気に滲んだ。
「あのお嬢さんはな……私が夜に怯えて震えているのを見て、ただの病気じゃないと気づいてくれた。たちが持ってきた類の束を見て、事の異常さを察してくれたんだ! そして……自分の勤める施設の顧問弁護士を紹介してくれて、法定成見の申してを続きしてくれたんだよ!」
成見。 その言葉を聞いた瞬、翔太の顔からすうっと血の気が引いていくのが見えた。
「綾さんが、私に代わって庭裁判所に類を提し、私の財産の保全続きを取ってくれた。だから……たちは、私のもも、これ以銭も奪えなくなったんだ!」
そういうことだったのか。
姉が、なぜあのヶ、をにして病に通い続けたのか。 ただ親切で介護をしていたのではない。 この無力な老を、欲な妻と息子から守るために。 法に命と財産を守り抜くために、姉はあのたい病で、たったで戦っていたのだ。
そして――なぜ、翔太と冴子さんが、姉を結婚式から絶対に排除したかったのか。
克己さんは今、リハビリを経て、奇跡に自分のでち、言葉を取り戻しつつある。 結婚式には、郎の父親として、威厳ある姿で席させられる予定だった。
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鈴の『完璧な名』という虚飾のピースとして。
だが、もしその披宴の会に、姉・綾の姿があったらどうなるか。
克己さんは、自分を救いしてくれた恩である綾の姿を見つけるだろう。 そして、親戚や力者、名士たちが居並ぶそのれ台の真んで、子からちがり、綾に向かって々とをげて謝を述べるに違いないのだ。
『私の命と尊厳を救ってくれたのは、婦の姉であるこの方です』と。
そうなれば、翔太と冴子さんが築きげてきた『慈に満ちた名』『献な母と孝息子の美談』は、その瞬にっ端微に吹きぶ。 自分たちが父親を虐待し、財産を奪おうとし、見らぬ介護士にの世話を押し付けていたという醜悪な真実が、彼らが何よりも執着する『世』ので完全に暴かれてしまうのだ。
だから、消したのだ。 席次表から、赤ペンで。 職業差別というもっともらしい実を弄して、自分たちの罪のき証を、暗のに閉じ込めようとしたのだ。
「……全部、わかったよ」
私のから、氷のようにたい声が零れ落ちた。 涙は、もう止まっていた。 胸の奥で燃えがっていたのは、しみなどではない。 のを踏みにじり、命を弄び、見栄のために姉を棒のように扱ったこの男に対する、底なしの侮蔑だった。
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「翔太さん。あなたたち、じゃないわ」
私のその言に、翔太の表が引き攣った。 エリートとしての仮面、優しい婚約者としてのメッキが、音をててボロボロと剥がれ落ちていく。
「……あ?」
翔太は喉の奥から獣のような唸り声をげ、元に散らばった通帳のコピーを乱暴に踏み躙った。 そして、その残骸を拾いげると、私の目のでビリビリと引き裂いて空へ放り投げた。
「いい気配で喋るなよ、美奈」
翔太の顔に浮かんだのは、酷で醜悪な、剥きしの脅迫者の表だった。
「ったところで、おに何ができるんだ? 式まであと週だぞ。式の内も、装代も、全部契約済みだ。招待状はもう主賓の元に届いてるんだよ! 今さら破談にできるとってんのか!?」
翔太は歩、私へ詰め寄ってきた。 その目は血り、狂気を宿していた。
「もしおが逃げすならな、違約の数百万円、全額おのところに請求してやる! それだけじゃないぞ。うちの親戚や元に言いふらしてやるんだ。『斎藤美奈の姉が、うちの病気の父親をたぶらかして遺産を狙おうとした卑しい女だったから、結婚を破談にしてやった』ってな!!」
「翔太……おというやつは……!」
克己さんが杖を振りげようとしたが、興奮のあまりをもつれさせ、子へと倒れ込んだ。
翔太は父親など目もくれず、私の顔のすぐ際まで顔をづけ、獰猛に囁いた。
「介護福祉士の社会信用なんて、瞬で吹きぶぞ。