"席次表から消された姉" 第13話
「あることないことって何!? やましいことがないなら、どうしてお父様に会わせまいとするの!? 翔太さん、あなたがお父様にしたことを隠したいからでしょう!」
「黙れ!!」
翔太のが振りげられた。 テラスのたい空気ので、乾いた暴力の予に私の体が竦む。
そのだった。
――バシィィンッ!!
く、鈍い破裂音が響き渡った。
「ぐあっ!?」
翔太が鳴をげてそのに片膝をついた。 の脛を押さえ、痛みに顔を歪めている。
何が起きたのか分からず目を見張ると、子の克己さんが、そのに握られた黒塗りの頑丈な本杖を振りろしていた。 麻痺の残る体で、全の体を乗せて、実の息子のを杖で殴打したのだ。
「お……親父……!? 何すんだよ!」
激昂する翔太を見ろし、克己さんは子の肘掛けを力く掴んで、震えるでちがった。 半にすべての力を込め、必にバランスを取りながら、私のにちはだかるようにしてその背を向けた。
「……私の、客に……のような畜が、触れるなッ!!」
絞りすような、けれど鳴りのような気を含んだ号だった。 克己さんの全が、りで激しく震えていた。 その目から、粒の涙がポロポロと零れ落ちていく。
「親父、狂ったのか!? 僕は息子の翔太だぞ! おの面倒をして見てやってる息子の!」
「面倒だと……? よくも、そんな嘘を……!」
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克己さんはを激しく震わせながら、膝掛けのから、使い古された茶い布製の提げバッグを引きずりした。 ファスナーをけ、から何冊かの通帳と、クリアファイルにまとめられた類の束を掴みすと、それを翔太の胸元へ叩きつけるように投げ捨てた。
バサバサと音をてて、のに類がい散る。 テラスの芝のに散らばったのは、の取引細のコピーと、震えるで克己さん自がき殴った記の記録だった。
「お義父様……これ……」
私がわず拾いげた通帳のコピーに目を落とすと、そこには信じられない数字が印字されていた。
克己さんがメーカーを定退職した際に支された、千万円を超える退職。 そして、毎支されるはずの障害と。 そのほとんどが、数万、数百万単位で、毎のように引きされていた。 振込先や引きしの細には、名百貨の商部、級貴属、そして翔太が乗っている輸入のローン会社の名がびっしりと並んでいた。
「……翔太、冴子。たちが『名』だ『格』だと威張り散らして暮らしてきたはな……」
克己さんは、元にうずくまる息子を、汚物でも見るかのような徹な差しで見ろした。
「全部、私が、油とにまみれて稼いだ退職と、このかん体のから毟り取っただ!!」
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息が止まりそうになった。
「私が……、倒れたのはな……病気のせいだけじゃない……」
克己さんの声が、悔し涙で途切れ途切れになる。
「たちふたりが……このとを担保に入れて、さらに千万円の借を背負わせようと……勝に贈与契約を偽造しようとしたのを見つけたからだ! それを問い詰めたら……冴子は私を突きばし、はそれを見殺しにしてをてった!」
ので、全ての点が急速に線となって繋がっていく。
脳梗塞で倒れたのは、偶然の病気などではなかった。 母親と息子が、見栄と浪費で作った借を父親に押し付け、全財産を奪い取ろうとした修羅の果てに起きた劇だったのだ。
「病院の……個で……たちが、毎夕何をしに来ていたか……忘れたとは言わせんぞ」
克己さんの杖を持つが、りでく張っていた。
「『契約に実印を押せ』『押さなければ、このまま治療費を打ち切って、方の無認の精神病院に放り込むぞ』と……けん私を脅しに来ていたんじゃないか!!」
「嘘だッ!」
翔太がちがり、類をで踏み躙りながら喚き散らした。
「親父はボケてるんだ! 脳梗塞の遺症で被害妄がてるんだよ! 美奈、こんな狂言を真に受けるな!」
「狂言なものか!!」
克己さんは叫んだ。
「あの獄のような病で……絶望して舌を噛み切ろうとしていた私を……毎晩、泣きながら止めてくれたのは誰だ!? 汚物にまみれた私の体を拭き、尊厳を取り戻させてくれたのは誰だ!!」