"8か月前に姉を亡くした俺――スーパーで鬼課長が双子の名前を呼んだ" 第2話
1枚の古い写真
スーパーの休憩スペースには、買い物を終えた客が数座っていた。俺たちは自販売かられた丸テーブルを選び、真奈と杏奈には温かいココアを買った。
川課は向かいの席に座っても、すぐには話し始めなかった。スマートフォンの写真を何度も送り、ようやく1枚をいて俺のへ置く。
のれた学の庭で、制姿の女が、肩を寄せて笑っていた。側は、違いなく姉だった。まだ髪がく、俺の記憶より幼い。それでも笑うにの眉がしがる癖は変わらない。
「が私。裕子とは学1からの友達だった」
写真の女と、目のの厳しい司がすぐには結びつかなかった。しかし川課の表には、会社で見せる隙のなさとは違う、いをいしているの柔らかさがあった。
真奈と杏奈も子からを乗りす。
「これ、ママ?」
「ええ。文化祭の準備をさぼって、先に叱られたの写真」
「ママも叱られたの?」
「私より先に逃げたわ」
が顔を見わせて笑った。母親を失ってから、裕子の話をするときの双子は、の顔を確かめるようになっていた。泣かせてはいけないとい、俺もいを話すことを避けていたが、本当はこういう普通の話を聞きたかったのかもしれない。
川課は、裕子が体育祭でリレーの選に選ばれたのに本番で靴ひもを結び直して遅れた話や、修学旅でに迷った自分を最まで探してくれた話もした。
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双子は、母親が完璧なではなく、失敗して笑い、友達と喧嘩もした女だったことを、宝物のように聞いていた。
川課は別の写真をいた。病で裕子が毛布に包まれた赤ん坊を抱き、その隣で川課がもうを抱えている。
「がまれた、お見いにもった。真奈ちゃんはなかなか眠らなくて、杏奈ちゃんは抱かれるとすぐ寝たのよ」
「今もそうだよ」と真奈が言い、杏奈が頬を膨らませた。
俺は写真の端に写る束を覚えていた。産祝いに姉のを訪ねた、玄関に飾られていたものだ。だが、誰が持ってきたかまではらなかった。
「葬儀にも来てくれていたんですか」
「ろの方にいたわ。あなたは親族への対応と子どもたちのことで、周りを見る余裕なんてなかったでしょう」
川課は葬儀、双子が親族に引き取られたとだけ聞いていたという。族だけの話しいに友が入ることはできず、そのは裕子の自宅も引き払われ、連絡先をる会を失った。
俺が部署へ異してきた、川課は「井哲也」という名に覚えがあった。裕子が何度も話していた弟と同姓同名で、顔にも面があった。それでも庭の事を職で問い詰めることはできず、確信を持てないまま接していたらしい。
「だったら、どうして仕事では何も……」
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「あなたが裕子の弟でも、仕事の基準を変える理由にはならないから」
迷いのない返事だった。厳しさの理由をすべて理解したわけではないが、なくとも俺を嫌って叱っていたのではないらしい。
杏奈がココアのカップを置いた。
「お姉さん、ママのこと、もっとってる?」
「たくさんってる。が聞きたいなら、いくらでも話すわ」
川課はそこで言葉を切り、俺に向き直った。
「それから、裕子の物をつ、私が預かったままなの。ずっと返す相を見つけられなかった」
の曜、俺たちのへ持ってきてもいいかと尋ねられた。突然活に踏み込まれることには警戒があったが、双子の期待に満ちた顔を見て断れなかった。
「午2なら、3ともにいます」
川課はさく頷いた。
「本当は、もっとくあなたに渡すべきだった」